2005 Fiscal Year Annual Research Report
銅・インジウム・ガリウム・セレン化合物薄膜太陽電池の高効率化に関する研究
Project/Area Number |
05J08427
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮崎 尚 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 太陽電池 / 蒸着 / 走査型電子顕微鏡 / CuInSe_2 / Raman分光法 / 薄膜 / CuGaSe_2 / X線回折パターン |
Research Abstract |
本研究において、より高効率な太陽電池を製作するために、原子をイオン化させ、製膜種のエネルギーを増加させることで作製する薄膜の高品質化をはかった。特に本研究ではタンデム化をする際、Top CellとなるCuGaSe_2薄膜の高品質化を目指し、Gaをイオン化させることで目指した。以下結論を述べる。 ・製膜種であるGaをイオン化することで、表面SEM像及び断面SEM像より、作製したCuGaSe_2薄膜の結晶粒径の増大を確認した。このことは、製膜種をイオン化することで、成長表面でのマイグレーションエネルギーを増加させ、本来の結晶格子位置に原子を移動させることができたためであると考えられる。 ・X線回折パターン及びRaman分光測定結果より、作製したCuGaSe_2薄膜の結晶性が向上し、同薄膜を高品質な製膜成長法で知られる3段階法で作製した場合と同程度、もしくはそれ以上の膜質を得ることに成功した。このことは、複雑なプロセスを介することなく、高品質な膜成長の道を開いたと言える。 しかしながら、イオン化したGa製膜種を使用することで、低抵抗なCu-Se化合物が増加してしまうことが確認された。低抵抗であるCu-Se化合物は、太陽電池特性、特に開放電圧を大きく減少させることが知られている。したがって急速熱アニール処理やシアン化カリウム溶液を用いることで、低抵抗なCu-Se化合物を除去し、更なる高品質な薄膜を作製することが可能であると言う知見を得た。 本研究の結果、銅-インジウム-ガリウム-セレン系化合物薄膜太陽電池の高効率化のために、製膜種のマイグレーションエネルギーを増加させることは非常に有効な手段であることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)