2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポリケチド系抗生物質生合成系の分子解析と新物質創成への応用
Project/Area Number |
05J08506
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠山 茂広 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハルストオクタコサノライド / ポリケチド / ポリケチド合成酵素 / 生合成遺伝子クラスター / P450モノオキシゲナーゼ / 遺伝子破壊実験 |
Research Abstract |
今年度は、完全に明らかにされていなかったハルストオクタコサノライド生合成遺伝子クラスター(hlsクラスター)の完全長の解析を行った。新たに3つのコスミドクローンをStreptomyces halstedii HC34株ゲノムライブラリーよりクローニングし、不明塩基配列を決定することにより、約10万塩基対にも及ぶhlsクラスターの解明できた。本クラスターには9つのORFの存在を確認でき、相同性検索よりそのうちの7つ(hlsA-G)がポリケチド合成酵素、2つ(hlsH,I)がシトクロームP450モノオキシゲナーゼをコードしていると推測できた。hlsクラスター中に存在したポリケチド合成酵素のドメイン構成は、ハルストオクタコサノライドの化学構造を良く反映していた。また、2つのP450モノオキシゲナーゼ遺伝子が、ハルストオクタコサノライドの4位及び32位の酸化に関与していると予測できた。 続いて、2つのP450遺伝子(hlsH,hlsI)の破壊株実験を行った。構築したhlsH破壊株はハルストオクタコサノライドAの生産能を失っていた。またhlsI破壊株についてはハルストオクタコサノライドA及びB両化合物を生産しなかった。さらに両破壊株の培養液を精査したところ、新規ハルストオクタコサノライド類縁体(ハルストオクタコサノライドC)の単離に成功した。種々機器分析によりハルストオクタコサノライドCの構造決定を行ったところ、本化合物はハルストオクタコサノライドBの32位水酸基が欠失した構造であった。以上の結果より、hlsクラスターがハルストオクタコサノライド生合成に関与していることが示せたと共に、不明であった2つのP450遺伝子の機能を、hlsHが4位のケトン化、hlsIが32位水酸化に関与していることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)