2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子の複合ナノ計測のための非開口型近接場光学/原子間力顕微鏡の開発
Project/Area Number |
05J08544
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
児玉 高志 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 原子間力顕微鏡 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 表面プラズモン / 光近接場顕微鏡 / 表面増強ラマン / ナノフォトニクス / カーボンオニオン |
Research Abstract |
試料の表面増強ラマン散乱(SERS)スペクトル、SERS画像を測定するために、本年度に大きく2点の技術開発を行った。1点目は非開口型近接場光学顕微鏡(ANSOM)のための新しい金属探針の開発であり、2点目はSERS画像測定のための測定装置の開発である。従来は市販の原子間力顕微鏡(AFM)探針表面を金属薄膜で覆ったものをプローブとして用いていたが、本研究において試料のラマン散乱を効率よく増幅することができなかった。そこで金属微粒子を固定した探針を本研究で新たに開発し、そのノイズ対策も検討した。また、AFMと共焦点レーザー顕微鏡の水平方向の動作を試料台に導入した共通のピエゾスキャナーで動作させることにより、広い範囲のSERS画像測定を行うことに成功した。そして今回開発した測定装置を利用して、カーボン系ナノ材料であるカーボンオニオンのSERSスペクトル、並びにSERS画像を測定することを試みた。その結果、カーボンの振動運動由来のG-Bandとカーボン構造の欠陥由来のD-Bandが得られた。また、それらの相対強度には位置依存性があり、D-Bandの検出頻度はあまり高くないことがわかった。これらは探針接触領域のカーボン構造の欠陥の有無を反映した測定結果であると考えられる。またG-Bandの強度を利用してSERS画像の測定を行ったところ、およそ5×5範囲においてリング状のカーボンオニオン構造のSERS画像を取得することに成功した。また画像から光学分解能を見積もったところおよそ50nmであり、またその分解能は作成した探針に依存することがわかった。今後、本研究成果を雑誌に公表し、また現在も取り組んでいる電磁場計算を用いて優れた金属探針の開発、並びに生態測定への応用を進めていく。
|
Research Products
(1 results)