2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市領域におけるエネルギーインバランスを考慮した乱流過程の把握
Project/Area Number |
05J08562
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲垣 厚至 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 都市大気乱流過程 / 乱流組織構造 / 超音波風速計 / 屋外都市スケールモデル / 大気安定度依存性 / 接地境界層 |
Research Abstract |
本研究目的は都市大気乱流過程について検討するものであり、それに対して屋外都市スケールモデルにおいて複数の超音波風速計を用いた乱流計測を行った。主に次の2つに焦点を絞った観測を行った。(1)乱流構造の水平分布、(2)乱流過程における大気安定度の影響。都市での熱や物質の乱流拡散過程を理解する上で、上記の2点は重要な情報と考えられるが、都市域での現地観測の困難から観測例や研究報告は(1)に関しては全く無く、(2)に関しても非常に少ない。これらをシステマティックに観測、検討が可能な点が屋外スケールモデル実験の利点であると言える。 主な研究成果として、16台の超音波風速計を水平一列に並べ、都市のような凹凸を持つ地表面上で発達する乱流構造の水平分布観測を行った。高度は建物模型の2倍の高度であり、接地境界層内に含まれる。その結果、風洞実験などで観測される平板境界層の低速ストリーク構造と似た風速分布が形成されていることが確認された。しかしその大きさはスパン方向約10m、流れ方向100m以上と、屋内実験のそれとはスケールが大きく異なり、また都市のような建物群の上空にそのような構造が発達していることを示した点が重要である。そして、そのようなストリーク構造と上空からの吹き降ろしの構造が正味の乱流輸送(運動量)の大半を担うことを示した。これらの乱流構造は建物に近い高度で発達していることから、キャノピー内の熱や物質の拡散過程にも大きな影響を及ぼすと考えられる。 他に大気安定度変化が乱流構造にどのような影響を及ぼすか示した。先に都市接地境界層の乱流過程が低速ストリークと上空からの吹き降ろしに支配されていることを述べたが、大気安定度が両者の比率を系統的に変化させることを示した。これは大気安定度変化が乱流構造を変化させることを示唆するものである。
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Research Products
(2 results)