2006 Fiscal Year Annual Research Report
都市領域におけるエネルギーインバランスを考慮した乱流過程の把握
Project/Area Number |
05J08562
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲垣 厚至 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 屋外都市模型 / 乱流組織構造 / 超音波風速計 / Active eddy / 乱流統計量 / 低速ストリーク / 内部スケール |
Research Abstract |
前年度は屋外模型都市における乱流計測から、平板乱流に見られる低速ストリークに似た、非常に強い運動量輸送能を持った乱流の組織構造が確認された。前年度の解析では乱流構造の定性把握に留まったが、今年度はより定量的な解析を試み、乱流構造の特性やそれを規定する物理パラメータについての検討を行った。 まず本模型都市で得られた乱流の時間統計量を実都市、平原、室内の平板で得られた値と比較し、それらの相似性について検討した。その結果、運動量をもたらすような乱流変動、いわゆるActive eddyによる風速変動は、壁面状態や境界層外層の状態に依存せずに、内部スケーリング(摩擦速度、高さ)に関して相似であることが確認された。この結果は、対数層における乱流構造は地表面幾何形状、粗度スケール、外層の条件などに拠らず、内部スケールにおいて普遍的な構造を持つ可能性を支持するものである。 また上記とは別に乱流構造形の定量把握を試みた。これはこれまで定性的に捉えられていたストリーク状の構造を定量的に表現するものである。解析には高解像度の乱流構造水平分布データが必要であるが、これは水平方向に熱電対を高密度に配置し、そこで計測された温度変動を乱流変動とみなして用いた。解析手順としては、温度変動の水平分布の中で変動が空間的に連動している部分をクラスターとして認識する。そして個々のクラスターの持つ特長(幅、長さなど)を数値で表す。これによってストリークのアスペクト比やスケールの他、構造の曲がり具合のような2点相関では表現の難しい特長についても検討可能である。しかし現段階では構造と非構造を分ける閾値の設定に任意性が無いため、次年度はこれについてさらに検討を進める予定である。
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