2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J08582
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 隆一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超弦理論 / 可積分系 |
Research Abstract |
1次元複素射影空間(CP1)上の位相的弦理論とU(1)ゲージ理論は完全に対応している。つまり、U(1)ゲージ理論はCP1上の位相的弦理論の振幅すなわち1種類の自由フェルミオンから得られるので、これを非可換ゲージ理論の場合に拡張する。具体的には、N種類の自由フェルミオンを用いてSU(N) Seiberg-Wittenプレポテンシャルを再現し、対応する位相的弦理論のモデルを探す。同時に内在する可積分構造も明らかにする。このプレポテンシャルはNekrasovの公式から既に得られており、その結果と比較する。また、その過程で自由フェルミオンの物理的解釈も行う。以上が今年度最初に掲げた研究計画である。 ここで、N種類の自由フェルミオンから直接得られるものは、正確には、プレポテンシャルの双対版である。これは、Mathematica(数式処理プログラム)を用いれば容易に得ることができ、その構造等もある程度理解できた。この双対版から逆にプレポテンシャルを得ることが今後の課題である。一方、このプレポテンシャルの値はNekrasovの公式、あるいは、カラビ・ヤウ多様体上の位相的弦理論(Aモデル)の振幅として得られることが知られている。そこでN種類の自由フェルミオンから作られる理論の可解性とカラビ・ヤウ多様体上の位相的弦理論の可解性との関係を見るために後者の理論の振幅を求めてみたが、より具体的な関連性が今後の課題として残っている。結局、N種類の自由フェルミオンの理論(可解系)から得られるゲージ理論の情報は、ヒッグス・スカラーの真空期待値が任意の(プランクスケールの)整数倍でのSU(N)プレポテンシャルの値であった。これは任意のN(≧2)で成り立つ主張であることが分かった。
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