2005 Fiscal Year Annual Research Report
固体の表面組成と構造が水滴の転落加速度に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
05J08586
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 俊介 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 撥水膜 / シランカップリング |
Research Abstract |
本研究では,無機固体表面上の撥水膜を対象とし,その上における液体の動的撥液性について調査している.平成17年度では以下の検討を行った. (1)膜の化学組成と水滴の転落加速度に関する検討 Si,サファイア基板を用い,オクタデシルトリメトキシシラン(ODS)とフルオロアルキルシラン(FAS)を単独・混合被覆し,その上で水滴の転落挙動を評価した.水滴の転落加速度が膜の組成に依存性することが明らかとなり.水滴の転落加速度はODSの比率が多いほど高くなり,水滴重量とともに転落加速度が急激な増加を示す「転落モードのスイッチ」がより小さな水滴重量で観測された.これはODS/FASの混合による水滴の転落挙動の制御の可能性を示唆しており,これらをまとめて論文に投稿した.(Surf.Sci.に掲載予定) (2)膜と水分子の相互作用に関する検討 ODS, FAS撥水膜表面上において水滴の冷却による氷結挙動をDSCにより調査した.その結果,氷結温度はFAS膜上でより低くなることが見出された.この系における氷の核生成は撥水表面からの不均一核生成であることが確認され,CF結合を有する表面では水分子の運動性が低下している可能性がある.この束縛された水分子が動的撥水性を低下させる可能性があり,現在,計算科学的手法(分子動力学法)を用いた現象の理解を進めている. (3)パターニング撥水膜での液滴表面クロマトグラフィ Si基板にODS/FASをラインパターン状に被覆した.斜面において試料を0から90度まで面内回転し液滴を転落させた.ラインが斜面方向に対し15度回転している場合,水滴の転落方向はその水滴重量に依存した.また,各種のアルコール,ジオキサン水溶液は同サイズの液滴でも濃度に依存した転落方向を示した.これらより,撥水膜のライン構造化とその方向性により液滴の動的挙動の違いを利用した表面クロマトグラフィが可能であることを見出した.
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Research Products
(2 results)