2006 Fiscal Year Annual Research Report
超音波による障害物検知と音像定位システムを融合した盲人用歩行補助器の開発
Project/Area Number |
05J08595
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中澤 麻梨江 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 音像定位 / 聴覚バーチャルリアリディ / 盲人用福祉機器 / フィルム型イヤホン / 芳香族ポリ尿素 / 高周波トランスデューサ / 高分子圧電薄膜 / 高機能トランスデューサ |
Research Abstract |
【微小イヤホン】まず、盲人の聴覚特性を妨げない、外耳道に挿入可能な数mm程度の寸法のフィルムイヤホンを作製するため、10mm×20mm角のポリイミドフィルム上にポリ尿素薄膜(1μm)およびアルミ電極を製膜した。作製した微小イヤホンの評価として、微小マイクを用いて周波数特性を観測し、1kHz〜20kHzで動作することを確認した。また,外耳道内でフィルムイヤホンがどのように振動しているのか確かめるため、外耳道を模擬したアクリルパイプ内でフィルムイヤホンのたわみ振動の様子を測定した。さらに、市販のイヤホン、チューブイヤホンと本研究で提案するフィルムイヤホンが外耳道内の音響特性に及ぼす影響について、音圧測定実験を行った結果、フィルムイヤホンが最も影響が小さいことがわかった。 今度、さらに最適な構造と形状を検討する予定である。 【高周波トランスデューサ】外耳道形状測定用の100MHz帯の高周波トランスデューサを検討した。等価回路による数値計算から、100MHzで動作するトランスデューサの設計を行い、ポリイミドフィルム上に電極とポリ尿素圧電膜を蒸着し、高周波トランスデューサを作製した。このフィルム状のトランスデューサを屈曲させ、曲率を変化させることにより、焦点位置を変化させて超音波の送受信を行うことができる。アドミッタンス特性から100MHz付近で大きな共振特性を持つことがわかった。今後、このトランスデューサを用いて、試料のスキャニングを行う予定である。 【積層型トランスデューサ】上記・トランスデューサの感度の指標となる電気機械結合係数を上げるため、積層構造のポリ尿素圧電トランスデューサを作製した。具体的には、2層、4層のトランスデューサを作製した。単層トランスデューサは、ポリイミド基板、下部アルミ電極、ポリ尿素(1.5μm)、上部アルミ電極の構造だが、積層では、下部アルミ電極とポリ尿素の層を交互に。積層構造の評価として、アドミッタンス特性を測定した結果、積層構造で電気機械結合係数が大きくなることがわかった。また、超音波送受信実験の結果、積層構造とすることで、受信電圧の振幅が大きくなることがわかった。さらに、積層構造についてMasonの等価回路を用いた数値計算から、確かに積層構造で電気機械結合係数が大きくなり、実験結果と同様に感度が向上することを確認した。
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Research Products
(6 results)