2006 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ構造におけるスピン光起電力の発生と光デバイスへの応用
Project/Area Number |
05J08601
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
早藤 潤人 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピン依存伝導 / 円偏光検出 / p-nヘテロ接合 / g因子 |
Research Abstract |
我々はスピン依存光学遷移とスピン依存拡散電流を組み合わせた円偏光検出素子(Spin-Photodiode)を提案し、実際にGaAs系材料p-InGaAs/n-AlGaAsヘテロ構造(8因子が異なる材料を組み合わせたp-n接合)を作製し実験的に円偏光に依存する電流(スピン依存拡散電流)の評価を行っている。一年度は、ヘテロ構造におけるキャリア輸送と太陽電池モデルを用いてシミュレーションを行った結果、円偏光を照射することによって発生するスピン依存電流は順方向に印加するバイアスを増加していくほど、大きなシグナルを得ることができるとわかった。また温度4Kにおいて実験的にスピン依存電流が増大していくことを実証しました。 二年度は高い温度領域(77K)における円偏光検出素子の評価を行った。 これはシミュレーションの結果において、スピン依存電流は同じ順方向印加バイアス下においては温度を上昇させていくと4Kのそれと比較して低くなる。しかし77Kにおいてでも、順方向印加バイアスを大きくしていけば、スピン依存電流は検出できることがわかった。そして77Kにおけるスピン依存電流の評価を行ったが、得られるシグナルがバックグランドにおけるノイズレベルよりも小さくシミュレーションの結果のようには検出することができなかった。この問題点は、ゼーマン分裂エネルギーの各スピンに対する状態が温度に対して揺らでしまいスピン依存電流が小さくなってしまうことである。今後は高い温度領域で動作可能なデバイス・材料設計を行っていく必要があります。二年度の実験はその知見を得ることができました。最終年度は、高い温度領域において大きなスピン依存電流を検出するために、g因子の大きい材料を用いて(p層にIn組成が高いIn_<0.53>Ga_<0.47>As(g〜5)を選択)p-nヘテロ接合の設計を行い、実際にデバイスを作製し評価していきます。
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Research Products
(5 results)