Research Abstract |
一元的内部表現に基づく包括的最適化コンパイラの実現を目的とし,内部表現の確立及び,最適化・並列化手法への応用に取り組んだ.特に今年度は,研究の総括として,提案手法に基づく細粒度並列化手法を,コンパイラのバックエンドに組み込むための指示子を検討,定義した.定義した指示子は,命令レベルでの資源割当や実行順序を表現するために,コンパイラの中間レベルの内部表現を拡張することで,提案手法を,粗・中粒度の自動並列化と協調して適用し,包括的な最適化を実現することができる. また,様々なアーキテクチャを対象とした評価を容易に実現するために,構成の定義・変更が容易なシミュレーション手法を検討した.これは,抽象化した規約に基づいてシミュレーション要素を定義するサイクルベースのシミュレーション環境である.この環境は,バスなどのペリフェラル要素や,精度の異なる種々の要素を同時に評価することができるため,コンパイラの評価のためだけではなく,システム開発の初期段階におけるメタシステム設計時の評価環境としても,非常に有用であることを示した. さらに,提案した最適化手法を次の例に応用し,効果を評価した.(1)バス接続型マルチプロセッサを対象とした細粒度自動並列化を目的とし,並列化による演算効率の向上とバスアクセス数の増減のトレードオフを評価することで,演算性能の向上とともに,消費電力を削減する手法を検討した.また,(2)リコンフィギュラブルプロセッサと汎用プロセッサで構成されるヘテロジニアスマルチプロセッサアーキテクチャを対象としたプログラムの細粒度自動分割手法について検討した.内部表現の演算リソースに対する定量的評価を応用することで,各プロセッサでの演算コストを定量的に評価し,効率の良いプログラムの分割が実現できることを確認した.
|