2005 Fiscal Year Annual Research Report
誘電分極現象に着目した有機ナノ界面膜の評価手法および柔らかいナノ構造体の物性
Project/Area Number |
05J08616
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 哲也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 水面上単分子膜 / 誘電分極現象 / 配向オーダーパラメータ / 分子形状 / ジオメトリー |
Research Abstract |
水面上単分子膜から発生する線形分極を測定することができるBrewster角顕微鏡(BAM)を作製し、既に開発したMaxwell変位電流法(MDC)、第二次高調波測定法(SHG)と組み合わせて、水面上単分子膜から発生する誘電分極を総合的に評価することができるシステムを構築した。まず、単分子膜全体の構造に注目して研究を進めた。構築したシステムを用いて、単分子膜の自発分極、線形分極、二次の非線形分極を測定し、アルキルシアノビフェニル(棒状分子)単分子膜の配向オーダーパラメータS_1、S_2、S_3の情報を得ることができることを示した。また、構築したシステムを用いて、M53(バナナ型分子)単分子膜の構造評価も行った。理論的には、単分子膜が二次元の物質であることから、分子の水面への射影が剛体斥力相互作用を行うと考え、解析を行った。測定の結果と解析の結果を比較することによって、バナナ型分子に拡張された配向オーダーパラメータC_<01>、C_<03>、C_<11>-C_<13>を見積もった。バナナ型分子の単分子膜のモデルを、さらに、Williams-Braggの理論からのアナロジーで理論解析を行い、バナナ型分子の単分子膜を圧縮することによって、アキラル構造からキラル構造に転移することを予言した。棒状分子とバナナ型分子という分子形状に着目し、それぞれの形成する構造を明らかにした。次に、単分子膜のドメインの構造に視点を移した。BAMの受光部とラングミュアトラフのバリア駆動機構に改良を加え、単分子膜のドメイン形状を詳細に観察できるようにした。単分子膜のshape equationによると、ドメイン形状は表面圧と自発分極によって決まる。フォスファチジルコリン単分子膜についてMDCと表面圧を計測しながらBAM画像を観察することによって、本研究で構築したシステムはドメイン形成のメカニズムを調べるのに有用であることを示した。
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