2006 Fiscal Year Annual Research Report
誘電分極現象に着目した有機ナノ界面膜の評価手法および柔らかいナノ構造体の物性
Project/Area Number |
05J08616
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 哲也 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 水面上単分子膜 / 誘電分極現象 / 配向オーダーパラメータ / 分子形状 / ジオメトリー / 電気四重極子密度 / キラリティー |
Research Abstract |
前年度に構築した、水面上単分子膜の分極現象を総合的に評価できるシステムを用いて、フォスファチヂルコリン単分子膜の構造を評価した。分子のキラリティーと単分子膜の構造との関係を明らかにするために、Maxwell変位電流法(MDC)とBrewster角顕微鏡(BAR)を用いて右手キラル分子からなる単分子膜と左手キラル分子からなる単分子膜の配向状態とドメイン形状を比較した。右手キラルのドメインと左手キラルのドメインは、互いに鏡像の関係になる形状を形成するが、MDC信号は同じ傾向を示すことを確かめた。理論的には、単分子膜が液晶性を持っていることに注目して、静電エネルギーを面内方向の自発分極が配向ひずみを持っているドメインに拡張した。単分子膜ドメインが、相互作用している誘起電荷の系であるという描像を得た。その上、配向ひずみを持つドメインのshape equationを求めた。キラル分子からなる単分子膜のドメインから、電気四重極子密度が発生する事に注目し、キラル分子からなる単分子膜の蓄える静電エネルギーを解析した。電気四重極子の効果によって、単分子膜のドメイン構成分子のキラリティーに依存した形状を形成する事を示した。通常の物質では電気四重極子の効果は無視できるほど小さいが、単分子膜の場合には自発分極の効果に匹敵するくらい大きい事を突き止めた。ドメイン形状の形成に静電エネルギーが重要な役割を果たすことは、電界によってドメイン形状を制御できる可能性を示唆している。ドメイン形状の電界への応答を調べるために、単分子膜に面内方向に電界を加えるシステムを構築した。現在、電界を加えながら、Brewster角顕微鏡によってドメイン形状の変形を観測し、電界によってドメイン形状を制御できる可能性を探っている。
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