2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J08639
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀧川 紘 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不斉合成 / ベンゾイン生成反応 / 光学活性トリアゾリウム塩 / 第3級αケトール / ホモイソフラバノン骨格 |
Research Abstract |
生理活性天然有機化合物には、テトラサイクリンやセラガキノンAのように、核間位をはじめ分子内に多くの不斉中心を含む、複雑な多環式構造を有するものがある。本研究は、こうした化合物の合成の鍵となると期待されるにも拘わらず、未だ有効な解決策のない、環状の第3級αケトール構造の立体選択的構築法の開拓に取り組むものである。この問題に関連し、これまでに当研究室では次のような知見を得ていた。すなわち、アルデヒドとケトンとの間の分子内ベンゾイン生成反応を鍵として、核間位に第3級αケトール構造を持つ四環性化合物を構築する、というものである。 今年度までに、基質は限られてはいたものの、1-アミノ-2-インダノールから誘導した光学活性トリアゾリウム塩を用いたときに有望な結果が得られることを見出していた。そこで、反応条件を最適化した結果、本反応が様々な基質に対し適用可能であり、望みの環状第3級αケトールが高収率、高エナンチオ選択性で得られることが分った。さらにこの反応を利用して、第3級ケトールを含んだホモイソフラバノン骨格を有する天然物eucomol類の不斉合成を行うために、モデル実験を行った。この場合、反応基質内のケトンのα位に酸素が結合していることによって、その位置のプロトンの酸性度が高められており、先述の反応条件では、競合するアルドール反応が優先してしまった。種々の検討の結果、触媒前駆体を改良し、先述の光学活性トリアゾリウム塩が有するN-フェニル基のメタ位に二つのトリフルオロメチル基を導入したものを用いると、この問題を解決し得ることが分った。 本研究実績と関連し、雑誌論文1報の投稿を行った。(本報告書、項目11参照)
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Research Products
(1 results)