2005 Fiscal Year Annual Research Report
転写伸長因子DSIFおよびNELFによる新規遺伝子発現制御機構の解析
Project/Area Number |
05J08656
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
相田 将俊 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 転写伸長因子 / 遺伝子発現 / DSIF / NELF |
Research Abstract |
転写伸長因子DSIFおよびNELFは協調してRNAポリメラーゼIIに作用し、転写伸長を一時停止させる生化学的活性をもつ。しかし、その機能の生理学的な役割はあまり理解が進んでいない。研究代表者は、DSIFおよびNELFがヒト培養細胞において前初期遺伝子の発現を転写伸長段階で制御していることを明らかにした。前初期遺伝子junBはインターロイキン6(IL-6)などのサイトカインの刺激に応答し、迅速かつ一過的に発現する。研究の結果、この遺伝子上では発現誘導前からRNAPIIがDSIFとNELFを伴っておよそ50塩基ほど転写を行った段階で一時停止していることが分かった。刺激によって発現が誘導されると、NELFが遊離することで一時停止は解除され、RNAPIIは下流領域の転写をおこなえるようになる。重要なことに、新たに転写を開始するRNAPIIにもDSIFとNELFは結合し、一時停止を誘導する。そして、RNA干渉によりNELFをノックダウンするとjunB遺伝子上での一時停止は減少し、junB mRNAの合成量が増大することが観察された。したがって、DSIFおよびNELFによるRNAPIIの一時停止はjunB遺伝子において、i)発現誘導前からRNAPIIを転写伸長段階にしておくこと、そしてii)mRNAの発現誘導レベルを抑制することの2つの役割を持っていることが示された(manuscript in revision)。
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