2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学的・免疫学的・海洋物理学的統合アプローチによるオニヒトデ広域動態の解明
Project/Area Number |
05J08669
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安田 仁奈 東京工業大学, 大学院情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オニヒトデ / サンゴ礁生態系 / 集団解析 / マイクロサテライトマーカー / 数値シミュレーション / 黒潮モデル |
Research Abstract |
昨年までに開発したマイクロサテライトマーカーを用いて、和歌山から石垣島にいたるまでオニヒトデの生息域をほとんどカバーする日本国内10箇所とフィリピン、パラオ、ポンペイ、マジュロ、フィジーの計15オニヒトデ大量発生集団を解析した。その結果、大きく4つのグループを検出することが出来た。最も遺伝的に離れたグループは南半球に位置する、地理的距離がもっとも離れたフィジーであり、2つ目のグループは地理的に2番目に離れているポンペイとマジュロであったが、Fisher's exact testの結果互いに統計学的に有意に分化していることがわかった。3つ目のグループはややフィリピンと日本全国と近いグループとしてパラオであり、このグループは、ポンペイ、マジュロのグループよりも、フィリピンと日本の集団に遺伝的距離が近かった。最後のグループは日本全域10箇所とフィリピンを含むグループで、このグループ内では明確な遺伝構造が検出できなかった。遺伝的距離と地理的距離の間の関係(Isolation By Distance, IBD)を調べたところ、全ての海域で解析した際にはIBDパターンが見られ、それぞれの集団が地理的に分化している可能性を示したものの、日本とフィリピンの集団だけで解析した際にはIBDパターンは検出されず、これらの集団の間には幼生分散を介した遺伝子流動が存在することが示唆された。さらに、黒潮を再現する3次元海水流動モデルであるJCOPEモデル上で幼生を見立てた粒子追跡を行ったところ、フィリピンから日本への幼生分散及び、日本国内間での幼生分散が再現され、集団解析の結果と一致する結果となった。
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Research Products
(5 results)