2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国東北部の消滅に瀕したモンゴル諸語の記述および言語接触にかんする研究
Project/Area Number |
05J08688
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山越 康裕 北海道大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | シネヘン・ブリヤート語 / ハムニガン・モンゴル語 / モンゴル諸語 / 言語接触 / 記述言語学 / エウェンキ語 |
Research Abstract |
本年度は夏季に中国内蒙古自治区呼倫貝爾市にてシネヘン・ブリヤート語の現地調査をおこなった. 現地調査では,コーパス作成のための音声資料,映像資料,文献資料の収集をおこない,それとともに文法事項にかんする調査をおこない,一定の成果をあげることができた. 文法事項にかんする聞き取り調査では,「AのB」のように2つの名詞が所有関係をなしている場合に,シネヘン・ブリヤート語ではどのような構造をとりうるか,具体的には名詞A, Bのどちらかが有標となるのかについて重点的に尋ねた.ここで得られた成果と,過去に現地調査で得たハムニガン・モンゴル語の同様の構造についてのデータとを対照した.その結果,ハムニガン・モンゴル語における所有構造のふるまいには,エウェンキ語とモンゴル語の影響が及んでいることを明らかにした.この成果は日本言語学会第133回大会(2006年11月)にて口頭発表のかたちで報告した. テキスト収集は民話の収集を中心におこなった.いまだ文字化にはいたっていないが,十分なデータの収集をおこなうことができた. このほか,これまでの調査で得られた資料をもとにまとめたシネヘン・ブリヤート語の文法概略の公刊(『文法を描く』所収),日本におけるブリヤート語研究の成果報告(日本言語学会第133回大会・公開シンポジウムにおける講演)等本年度はおもに成果報告に重点を置き,大きな成果を残すことができた. また,以前の調査で得られたハムニガン・モンゴル語の言語資料を文字化し,「ハムニガン・モンゴル語テキスト:日常会話を題材とした基本文例集」(『環北太平洋の言語』14所収.2007年3月)として公表した.
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Research Products
(4 results)