2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J08724
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤 博之 北海道大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 弦の場の理論 / 量子重力 / 体積予想 |
Research Abstract |
本年度の研究では、まず弦の場の理論の研究に関する研究を行った。近年、弦の場の理論による弦理論の非摂動的真空の研究が大きな進展を遂げ、特にボゾン的弦理論に現れるタキオンが凝縮した真空がSchnablによって解析的に求められた。その際に用いられた弦の場の理論のゲージは、従来のSiegelゲージとは異なり、弦の状態空間の貼り合わせを記述するのに適したものを取っており、我々はこれをSchnablゲージと名づけ、このゲージの元での弦の場の理論の振幅に関する研究を行った。藤-中山-鈴木(北大)の論文では特に4点振幅に着目し、Schnablゲージでのoff-shell振幅の計算を行った。さらに本論文において、Schnablゲージの拡張として、「修正Schunablゲージ」を提唱し、このゲージに基づいて様々なon-shell4点振幅を計算し、それらが非常に簡単化されることを検証した。また、この修正Schunablゲージを超弦の場の理論へも拡張した。その結果、超弦の場合でもon-shell振幅の計算が簡単化される事が示され、具体例でこの簡単化の検証を行うことができた。今後は、閉弦の場の理論へ応用できる同様のゲージを発見し、これまで解析値が存在しない閉弦の4点相互作用の積分値の解析的記述の発見を目指す予定である。 さらに、本年度は3次元双曲的量子重力理論の位相的弦理論による定式化を目指した研究に関しても大きな進展が得られた。現在準備中の藤-徳永(京大)-津田(阪大)の論文では、「体積予想」と呼ばれる3次元双曲多様体論の予想を位相的弦理論に拡張した研究を行い、その結果、ミラー多様体の対数的Mahler測度やRonkin関数が鞍点解析から求められるという新たな予想を提唱した。今後は、今回の研究をより一般的なCalabi-Yau多様体に拡張することによって、"Geometric Engineering of 3D Gravity"という研究テーマを確立する予定である。
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Research Products
(1 results)