2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J08763
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西村 泰介 北海道大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | オーキシン / オーキシン応答因子 / Upstream open reading frame / 翻訳 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
植物ホルモン・オーキシンが細胞に受容されると、一群の遺伝子の転写様式が変化し、様々な生理応答が引き起こされる。オーキシン応答因子(ARF)は、オーキシン応答性遺伝子群の転写を調節するタンパク質であり、オーキシンに対する細胞応答機構を解明するためには、その発現機構を明らかにすることは重要である。シロイヌナズナARF遺伝子の多くにupstream open reading frame(uORF)が存在する(Nishimura et al. 2004)。uORFはmRNA上に存在するシス制御因子で、翻訳やmRNAの安定性に関与することが知られていることから、その制御機構を解明することは興味深い。 本研究課題以前に、シロイヌナズナ・プロトプラストにおけるARF uORF領域-レポーター融合遺伝子の一過的発現解析からARF3/ETT遺伝子とARF5/MP遺伝子のuORFが発現の抑制効果を持つことが示されている(Nishimura et al. 2004)。今年度は逆転写酵素を用いたリアルタイム検出型DNAポリメラーゼ連鎖反応により、このプロトプラスト内の融合遺伝子mRNAの量を定量し、この系におけるuORFによる発現抑制効果が主に翻訳レベルで行われることを明らかにした。またウイルス由来RNAポリメラーゼを用いてin vitroで転写されたARF uORF領域-レポーター融合遺伝子mRNAを小麦胚芽由来の無細胞系にて翻訳させ、プロトプラストで観察された翻訳制御をin vitro系で再現することに成功した。この系を用いることにより、ARF3/ETT遺伝子とARF5/MP遺伝子のuORFがin vitroで翻訳を抑制すること、ARF3/ETT遺伝子のuORF由来のペプチドが確かに生成しうることを明らかにした。これらの研究成果はThe Plant Cell誌17巻11号2940頁-2953頁に掲載された。
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Research Products
(1 results)