2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性エナメル質形成不全症の遺伝子解析及び変異タンパク解析
Project/Area Number |
05J08766
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
貴田 みゆき 北海道大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遺伝性エナメル質形成不全症 / タンパク機能解析 |
Research Abstract |
学振申請時より研究を進めてきたX染色体上アメロジェニン遺伝子上に世界で13例目となる新奇の遺伝子変異を有する4世代にわたるX連鎖遺伝性エナメル質形成不全症に関して、分子生物学的見知から追求を行い、その研究成果がJournal of Dental Researchに掲載された。(Miyuki Kida, Yukio Sakiyama, Akemi Matsuda, Syuhei Takabayashi, Hirotomo Ochi, Haruo Sekiguchi, Satoko Minamitake and Tadashi Ariga "A novel missense mutation (P52R) in AMELX causes X-linked AI" Journal of Dental Research, January 2007 vol. 86 Number 1 p69-72)具体的には、ヒト歯胚からアメロジェニンmRNAを抽出し、全長のアメロジェニンcDNAのクローニングを行った。正常アメロジェニンcDNAをもとに同定した遺伝子変異をもった変異アメロジェニンcDNAも作製しクローニングした。両者をタンパク発現ベクターに組み込んで、in vitroの系でタンパクを発現させた。正常・変異タンパクは非常に安定に発現しその分子量もほぼ同じものであった。また、島津製作所との共同研究を行い、健康な歯および遺伝性エナメル質形成不全症患者の歯を用いて蛍光X線回折・X線回折を行った。両者に有意な差は確認されなかったものの、左記の解析は報告がなく特筆すべきものであった。 さらに北海道大学歯科診療センターおよび関連病院との連携をとりながら遺伝性エナメル質形成不全症症例を収集し、その症例を増やしている。これらの症例に対し、常染色体上のアメロブラスチン・エナメ:リン・エナメリシンに関する遺伝子解析に加え、昨年度新たに作製したDistal-less homeobox gene(DLX3)やKallikrein-4(KLK4)に関しても順次遺伝子解析を行っている。これらの解析の中で、関連病院より遺伝性エナメル質形成不全症の疑いで精査紹介された症例で非常に貴重な症例を検出した。その臨床所見からまだ本邦で報告のない遺伝性象牙質形成不全症が疑われ、責任候補遺伝子である4番染色体上Dentinsilophpspho proteinに関し新たにprimerを設計し遺伝子解析を行った。その結果世界で9例目となる新奇の変異を検出し、現在論文投稿中である。
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