2005 Fiscal Year Annual Research Report
天然生理活性物質トウトマイセチンを用いたPP1阻害による細胞内情報伝達の網羅解析
Project/Area Number |
05J08774
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三橋 進也 北海道大学, 大学院農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | トウトマイセチン / PP1 / TNF / EGF |
Research Abstract |
本研究では従来の生化学的手法に加え、1型プロテインホスファターゼ(PP1)の初めての特異的阻害剤トウトマイセチン(TC)、および質量分析装置等の新技術を組み合わせて使用し、特に細胞膜直下のリン酸化タンパク質の網羅的な解析を行う。そして、その成果によって癌、糖尿病および免疫系をはじめとする生命科学分野に新たな展開をもたらし、さらにTCの臨床薬剤としての応用も目指す。 実績1;様々な増殖因子やサイトカインのうちTCが影響を及ぼすシグナル伝達経路はどれかを、下流の分子の活性化や発現を検出しながら網羅的に探索した。検出はルシフェラーゼ測定にて下流の転写因子の活性化、リン酸化抗体で下流分子の活性化を調べた。その結果、TCがTNFおよびEGF刺激を抑制することが明らかとなった。一方、同様な刺激であるLPSおよびIL-6などのサイトカインへの影響は示さなかった。 実績2;市販の抗リン酸化抗体等の抗体でイムノブロット、またキナーゼおよびGタンパク質(Rasなど)の活性をIn vitroで測定し、シグナル伝達のどの段階にTCが作用しているか調べた。その結果、TNFにおいてはIKKキナーゼより上流で受容体よりも下流にTCの標的があることが示唆された。 実績3;TCを用いて処理を行った細胞の抽出液を2次元電気泳動法において分離したところ、処理を行わなかった細胞抽出液に比べ幾つかのタンパク質が酸性側に移動しているのが示唆された。現在はリン酸化タンパク質親和性クロマトグラフィーを用いて、精製を試みている。
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Research Products
(3 results)