2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代ドイツにおけるナショナリズムと「中欧」理念の関係についての研究
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05J08858
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
板橋 拓己 北海道大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中欧 / ナショナリズム / ドイツ / 国際政治史 / ヨーロッパ政治史 / ヨーロッパ統合 / 地域主義 |
Research Abstract |
本研究は、19世紀後半から第一次大戦期までの多様な「中欧」概念を研究し、近代ドイツにおける「中欧」概念とドイツ・ナショナリズムとの関係を解明することを目的としている。具体的には、フリードリヒ・ナウマン(1860-1919)やその同時代人、さらにコンスタンティン・フランツ(1817-91)ら近代ドイツ政治史上の重要人物の多様な「中欧」概念を歴史学的・政治学的に分析するという手法をとる。つまり本研究は、第二帝政成立期と第一次大戦期という近代ドイツの二つの大きな転換点に着目し、ナウマンとフランツという人物を中心として、近代ドイツにおけるナショナリズムと「中欧」概念との関係を解明しようとするものである。 本年度の研究実績は大別して以下の二点である。 1.ナウマン『中欧論』を中心とする第一次大戦期の「中欧」論争に関わる史料を収集・整理し、理解を深め、その成果の公表に努めた。まず『北大法学論集』第56巻第1号(2005年)に「『中欧』の理念とドイツ・ナショナリズム(2・完)-フリードリヒ・ナウマン『中欧論』の研究-」を公表した。さらに、日本国際政治学会2005年度研究大会(11月20日)分科会D(国際統合)において「第一次大戦期ドイツの『中欧』統合構想について」という題名で報告を行った。(なお、当初はドイツでの「ナウマン」文書収集を予定していたが、それよりも第一次大戦期における多様な「中欧」構想を分析するためには、ナウマンの同時代人の著作・言説を分析する方が重要であると判断し、そちらの読解に専念したことを付記しておく。) 2.代表的なフランツ研究を参照すると共に、フランツの著作の精読に努めた結果、フランツの「中欧」概念における連邦主義の重要性を明らかにした。フランツ研究は開始したばかりなので、研究成果の公開には至っていないが、出来るだけ早く成果の公表に努めたい。
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