2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポーランド国民への政治-ロマン・ドモフスキの視座 1908-1922-
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05J08859
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮崎 悠 北海道大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国際政治 / ポーランド / ナショナリズム / 東欧史 |
Research Abstract |
今年度の研究のテーマは、戦間期ポーランドの政治-外交家ロマン・ドモフスキの唱えた「全ポーランド主義」を、政治思想の視角から分析、その内容および成立の背景を明らかにすることとした。 1.文献講読: 政治論文『我々のパトリオティズム』(1893年)を精読・翻訳し、(1)「全ポーランド主義」、(2)社会ダーウィニズム的世界観、(3)ドイツ警戒論といったドモフスキの主要な思想的特徴を明らかにした(同翻訳・解題を『北大法学論集』第56巻第1号(2005年5月)に発表)。 2.史料収集: (1)独立博物館において、ドモフスキ関係の未公刊・個人蔵の書簡類を閲覧した。その結果、第一次大戦中からヴェルサイユ講和会議迄の、ドモフスキの外交活動を知る上で極めて重要な時期(1915-1918年)に、400通以上の書簡がポーランド人政治家の他、英米の政治家や外務省関係者、新聞記者と交わされていたことを確認した。英米仏の政府関係者や新聞を利用しつつ、ポーランド独立運動を展開した過程が、新たに分かった。 (2)研究者へのインタビュー:PAN所属の歴史研究者(ヴォルシャ教授、博士課程クシヴィエツ氏)から、文書館史料の所在や近年の研究動向を聞き取り、研究史として整理した。またIPNのドモフスキ研究者ブーハク博士から、「全ポーランド主義」の思想形成に東部領域Kresyが有した重要性について詳細な説明を受けた。 3.論文発表: 上記1および2の記録を元に、研究ノート「国民的独立のパトスとロゴス--ドモフスキのパトリオティズム1893-1908年--」をまとめ、(1)研究史、(2)「全ポーランド主義」成立の背景、(3)パトリオティズム形成の国際的要因、等を考察した(同研究ノートは『北大法学論集』第57巻第2号に掲載予定)。
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