2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J08887
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柏村 聡 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNA / メモリ / NPMM / PCR / 読み出し精度 |
Research Abstract |
本研究課題は,DNAのメモリユニットとしての優れた性質に注目したDNAを記憶媒体として利用するメモリ(DNAメモリ)の開発である.特に、先行研究により提案されたDNAメモリモデルの問題であった 1)大容量化が困難である点,2)データの読み出し精度の低さ,を改善することを目的とし,本研究では,階層アドレスをNested PCRによって段階的に指定するDNAメモリモデルNested Primer Molecular Memory(NPMM)を扱っている.本年度の主要な成果は以下に示す通りである. (1)DNA配列設計アルゴリズムの開発: 大容量化に伴ってDNA配列数が増加すると,読み出しエラーの要因である非特異的結合が増加する問題を解決するため,非特異的結合を起こさないDNA配列を従来よりも多量に設計可能な手法を開発した.本アルゴリズムにより,大容量NPMMを表現するために必要な多数のDNA配列が確保された. (2)NPMMの限界容量の理論的考察: NPMMが適切に動作可能な物理的な条件を定義し,NPMMが適切に動作可能な要件について理論的な考察を行った.これにより,NPMMを適切に動作させるためには,保存データを数億種類以下にする必要があることが示された. (3)大容量NPMMの実証実験: (1),(2)の研究成果に基づき,1万種類のデータを保存したNPMMを実際に化学的に構築し大容量NPMMの実証実験を行った.実験結果より,NPMMは,一万種のデータ集合から、対象のアドレスに保存されている目的のデータを適切に抽出可能であることを実証し,従来のDNAメモリモデルと比較して,読み出し精度が非常に高いことを実証した.しかし、一方で,非目的のデータをコードするDNAも少数ながら同時に抽出された.今後の研究課題として,大容量NPMMの実現に向けて,読み出し精度をさらに向上させることを目指す.
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