2005 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属気相選択成長法を用いたナノ結晶の作製とそのフォトニックデバイスへの応用
Project/Area Number |
05J08890
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
竹田 潤一郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機金属気相成長法 / 選択成長法 / 二次元フォトニック結晶スラブ / 化合物半導体 / ガリウム砒素 / 横方向成長 |
Research Abstract |
有機金属気相選択成長法を用いて作製した化合物半導体空孔周期配列の二次元フォトニック結晶スラブへの応用のため、空孔構造変化の成長条件及びマスク構造依存性を確認した。 ガリウム砒素(111)B基板上へ六角空孔構造を作製すると、基板に垂直方向への成長だけでなく、空孔側面(横方向)への成長も促進する。空孔側面は(110)面ファセットによって形成されており、(111)B面とは最表面の原子配列の違いから成長条件が異なっている。そのため、成長温度や砒素供給量等を制御することにより、横方向成長による空孔構造の変化を制御することが可能であることが明らかになった。 また、偏波無依存なフォトニックバンドギャップの形成が期待される三角空孔周期配列において、空孔構造制御のマスクパターン依存性を調べた。実験結果より、六角マスクを周期的に配列したパターン基板を用い、さらに三つのコーナーからの横方向成長の利用により、成長条件の変化に対し空気孔充填率の変化がゆるやかになり、構造制御性が向上することが明らかになった。 さらには、アルミニウムガリウム砒素をバリア層としてガリウム砒素の量子井戸を埋め込んだ空孔構造を作製し、その発光特性を確認した。フォトルミネッセンス測定の結果、量子井戸層からの発光ピークが観測でき、今後構造の最適化により発光した光をフォトニック結晶で制御することが可能であると考えられる。また、ガリウム砒素は一般的に表面準位の影響を受けやすい。しかし、この方法は上記のように横方向にも成長するため、発光層を側面も含めて完全に埋め込むことができ、そのため表面パッシベーションの効果により発光が可能になったものと考えられる。 以上の結果から、有機金属気相選択成長法によって作製したガリウム砒素系空孔型周期配列は形状の制御が可能なこと、またフォトニック結晶発光素子への応用に優位なことが明らかとなった。
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