2005 Fiscal Year Annual Research Report
熱力学的解析に基づいた競合状態におけるDNA間結合の特異性に関する研究
Project/Area Number |
05J08891
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 文昭 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | DNA計算 / 結合の特異性 / 自由エネルギー / 競合状態 / 塩基配列設計 / 熱力学 |
Research Abstract |
本年度の研究業績は以下の二点にまとめられる. 1 化学実験により,二本のDNAが結合するためのΔGの閾値ΔG^*を明らかにした 2 全ての塩基配列の組についてΔG>ΔG^*を満たすような塩基配列集合の設計プログラムの実装・公開 まず,上記1に関して説明する.当初は,三本のDNAが競合して結合する際に,結合の特異性を満たすΔGの条件も併せて調査する予定であった.しかしながら,科学研究費が申請額の150万円より50万円少ない100万円であったため,二本のDNAが結合する場合のみ調査を行っている.具体的な実験方法に関しては,計画時に述べた通り電気泳動による手法を採用した.これは,当初危惧していた識別能が予想よりも高く,DNA間結合の判定が十分可能だったためである.実験の結果,ΔGによって二本のDNAが結合するか否かを精度よく判定できることが確認された.さらに,バッファの塩濃度が1M,DNAの濃度が1uMという基準的な条件下において,ΔG^*=-14.0kcal/molを閾値として,これを下回った場合に二本のDNAが結合することが明らかとなった. 次に,上記2に関して説明する.上記の結果より,お互いに結合しない,つまり結合の特異性を満たす塩基配列を設計する場合,ΔG>ΔG^*という条件を満たす必要があることがわかった.そこで,全ての塩基配列の組についてΔG>ΔG^*を満たすような塩基配列集合を設計するプログラムの実装を行った.PCの環境に出来るだけ依存せずに実行可能なように,Javaアプリケーションとして実装を行い,現在,Web上で公開している (http://ses3.complex.eng.hokudai.ac.jp/^-fumi95/DNA-SDT/).
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Research Products
(1 results)