2005 Fiscal Year Annual Research Report
らせんポリマーを不斉反応場に用いる新規な不斉合成法の開発
Project/Area Number |
05J08937
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
堺井 亮介 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | らせんポリマー / ポリイソシアネート / 不斉認識 / クラウンエーテル / ホスト・ゲスト相互作用 / らせん誘起 / 不斉重合 / 配列制御 |
Research Abstract |
不斉開始剤を用いたらせん選択重合によりクラウンエーテルがらせん状に配列したポリイソシアネートを合成し、ゲストとのホスト・ゲスト相互作用が主鎖らせん構造に与える影響およびらせん状に配列されたクラウンエーテルの不斉認識能を詳細に評価した。側鎖にクラウンエーテルを有するポリイソシアネート2は対応するイソシアネートモノマー(1)の不斉開始剤を用いた不斉重合により収率良く合成できた。2のCDスペクトルにおいて、主鎖構造に由来する波長領域で明瞭な正のコットン効果が観察されたことから、2は一方向巻きのらせん構造を有していることがわかった。次にクラウンエーテル側鎖でのホスト・ゲスト相互作用が主鎖らせん構造に与える影響を明らかにするため、光学活性ゲスト分子として_D-および_L-フェニルアラニン過塩素酸塩(Phe・HClO_4)の存在下、2のCD測定を行った。_D-Phe・HClO_4の添加量が増加するにつれて、CDスペクトルの強度は正の方向に増加した。一方、絶対配置が逆である_L-体の場合、スペクトルの反転を伴いながら負の方向へと変化した。従って、ゲストの不斉構造が2のらせん構造に強く影響を与えることが明らかとなった。この際、ゲストの不斉構造によって、CD強度の飽和に必要なゲストの量に明確な差が観察された。すなわち、_D-体を用いた場合、飽和に必要なゲストの量は2のモノマーユニットに対して1.0当量であるのに対し、_L-体では5.0当量であった。この差は2が本来有するらせん構造に基づくものと考えられる。さらに、2の不斉認識能を評価するため液-液抽出実験を行った。2は_<DL>-Phe・HClO_4などのラセミ体ゲストに対して不斉認識能を有しており、_D-体のアミノ酸が優先的に包摂された。従って、一方向のらせん状に配列されたクラウンエーテルはキラルホストとして振る舞うことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)