2006 Fiscal Year Annual Research Report
ハンタウイルスレセプターの同定〜エンベロープ蛋白組換ウイルスを用いたアプローチ
Project/Area Number |
05J08973
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥村 恵 北海道大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハンタウイルス / 人獣共通感染症 / レセプター |
Research Abstract |
これまでの結果から、MDBK細胞は、30種類以上の哺乳類由来細胞の中で唯一ハンタウイルスエンベロープ蛋白を外被したシュード型VSV、シュード型レトロウイルスおよびnativeハンタウイルスに感受性を示さないことが分かった。 ハンタウイルス高感受性であることが明らかとなったA549およびACHN細胞株から抽出したトータルmRNAを用いてcDNAライブラリーを作製した。遺伝子スクリーニング作業を遂行するためにMDBK細胞株のトランスフェクション条件をさまざまな手法を用いて検討したが、スクリーニング実験に耐えうるような導入効率の条件は得ることができなかった。しかし、単一の遺伝子導入試験は可能と考えられたため、αvβ3インテグリンをMDBK細胞に導入・発現し、それによってハンタウイルス感受性が増強するか否かを検討するために、αvおよびβ3インテグリン発現ベクターを調整した。導入試験については現在継続中である。 また、トッタパラヤンウイルス(TPMV)は唯一齧歯類以外(スンクス)から分離されたハンタウイルス株である。TPMVのS segmentは、塩基・アミノ酸配列ともに他の齧歯類由来株とは大きく異なり、その宿主および病原性についてはまったくの不明である。一般にハンタウイルスは特定の齧歯類を自然宿主として共進化してきたと考えられるが、もしTPMVの自然宿主がスンクスであった場合、他の齧歯類由来株とは標的レセプターや感染機構が大きく異なっていることが予想されるため、TPMVのふるまいを知ることは非常に重要である。そのため、まずTPMVの抗原性を詳細に解析し、MAb E5/G6エピトープを有するTPMV組換N抗原を開発した。これを用いた診断系を確立し、東南アジア由来不明熱患者血清および野外捕獲スンクス血清の抗体調査を行ったところ、ヒト患者1例、スンクス2例から陽性反応を得た。さらにこれらからはTPMV中和抗体陽性が確認された。ヒトおよび動物でTPMV感染例がはじめて確認され、今後のTPMV研究の足がかりを作ることができた。
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Research Products
(3 results)