2005 Fiscal Year Annual Research Report
Th1/Th2バランス制御を介した抗腫瘍免疫の誘導とそのメカニズムの解析
Project/Area Number |
05J08977
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
茶本 健司 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 癌免疫治療 / Th1細胞 / Regulatory T cell |
Research Abstract |
申請者らは免疫バランスをTh1型に傾けることで生体内において癌特異的な抗腫瘍免疫を誘導し、癌を治療することを目指している。効果的なTh1細胞治療を実現化するためにはまずhelperT細胞の正と負の免疫制御のメカニズムを解明する必要があった。そこで平成17年度は1、helper T細胞(regulatory T cell ; Treg)による担癌生体内での負の免疫制御のメカニズムを解明し、2、非特異的Th1細胞(PPD特異的Th1細胞)を用いた正の免疫制御のメカニズムを解明した。 1.申請者は担癌生体内において抑制性のhelper T細胞(Foxp3^+ Treg)が所属リンパ節で増加していることを発見した。さらに担癌生体内にanti-TGF-β抗体を投与するとこのTregの数が減少したことより、おそらくTregは癌由来のTGF-βによって担癌生体内で増加したものと考えられた。今後はanti-TGF-β抗投与とTh1主導型免疫治療を併用する必要があると考えられる。 2.担癌マウスの腫瘍内にPPD特異的Th1細胞とPPDを腫瘍内に同時接種すると癌特異的CTLが誘導され腫瘍塊が完全に縮退することが明らかとなった。腫瘍拒絶のメカニズムではPPD特異的Th1が所属リンパ節で分裂し、続いて所属リンパ節で癌特異的CTLが誘導されることが確認された。リンパ節を欠損するAlyAlyマウスでは同様の治療により癌特異的CTLが誘導されないことより、癌特異的CTLの誘導には所属リンパ節が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 以上のことより癌特異的Th1細胞の誘導が困難なときでも非特異的Th1細胞を用いることで癌特異的抗腫瘍免疫を誘導できることが明らかとなった。また同時にanti-TGF-β抗体を投与しTregを抑制することで、さらに効率よくTh1主導型免疫を誘導できる可能性があることを証明した。
|
Research Products
(5 results)