2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J08991
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平野 良憲 北海道大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 細胞極性 / 構造生物学 / タンパク質間相互作用 / Par3 / PDZドメイン / リン酸化 |
Research Abstract |
Par複合体の局在の制御を明らかにするため,本年度はPar複合体の因子の1つPar3について研究を進めた.Par3は複数のドメインからなるマルチドメインタンパク質であり,3つのPDZドメインが存在し(N末端側からPDZ1,PDZ2,PDZ3),これらPDZドメインはPar複合体の局在制御に関与している.Par3のPDZ3と結合タンパク質として同定された上皮細胞の密着結合の形成に関与する分子,Par3BMPとの相互作用様式の詳細について研究を行った. Par3BMPは一回膜貫通型の膜タンパク質でC末端にPDZ結合配列を有している.またPDZ結合配列のすぐN末端側にはSer残基が存在し,特にSer360はカゼインキナーゼIIのリン酸化コンセンサス配列に相当し,生体内においてリン酸化される可能性が示唆された.NMRによる滴定実験の結果,Par3BMPとPar3α PDZ3の相互作用はSer360のリン酸化により増強されることが明らかとした.また立体構造解析の結果,Par3α PDZ3に特徴的な点として,典型的なPDZドメインのリガンド結合領域近傍に塩基性残基の集積した正電荷のクラスターを形成しており,リン酸基の負電荷を許容できる性質を持っていることを明らかにした.さらにPar3α PDZ3とPar3BMP S360Dの複合体の立体構造をNMR法により決定した.Par3α PDZ3とPar3BMPは分子間で逆平行β-シートを形成し,Par3BMPのC末端の3残基はPar3α PDZ3上に存在する疎水性の溝にはまり込むように相互作用していた.変異実験の結果,これら疎水性残基は複合体形成に必須の相互作用を担っていることを明らかにした.また,リン酸化SerはPar3α PDZ3上の塩基性クラスター静電相互作用することでPar3BMPとPar3との相互作用を強めていることを明らかにした.
|
Research Products
(1 results)