2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
錦織 雅樹 北海道大学, 大学院農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プラス鎖RNAウイルス / トマトモザイクウイルス / 複製複合体 / 複製タンパク質 / 宿主タンパク質 / 低分子GTPase |
Research Abstract |
トマトモザイクウイルス(ToMV)は宿主細胞内のオルガネラ膜上にRNA複製複合体を形成する.複製複合体はToMV複製タンパク質とToMV RNAに加え,宿主側の因子により構成されると考えられるが,宿主因子に関する情報は限られている.申請者は昨年度までに,ToMV感染細胞より膜結合の複製タンパク質およびToMV RNA合成活性を可溶化し,精製する方法を確立した(Nishikiori et al.,2006).本年度はToMV RNA複製複合体を構成する宿主側の因子を明らかにするため,ToMV複製タンパク質と共精製された宿主タンパク質を質量分析法により同定した.その結果,ToMVの増殖に関与することが遺伝学的に示された宿主膜貫通タンパク質のTOM1およびそのホモログと,TOM2Aが同定された.また,低分子GTPaseのひとつで機能未知のタンパク質ADPリボシル化因子様タンパク質(ARL)が同定された.当該ARLおよびホモログ遺伝子はタバコおよびシロイヌナズナに少なくとも4つ存在した.ARLが植物体内でのToMV増殖に必要であるか調べるため,シロイヌナズナarl T-DNA挿入変異株を入手した.シロイヌナズナの各arl遺伝子単独変異はToMV増殖に影響を与えなかったが,いくつかのarl二重変異株および三重変異株では,ToMV増殖が強く抑制されることが判明した.また,非感染BY-2細胞抽出液における試験管内ToMV RNA翻訳・複製系を用いた解析から,ARL添加はToMV関連タンパク質の翻訳には影響を及ぼさないが,RNA複製を亢進することが判明した.以上,本研究により,ToMV RNA複製に関与する新規の宿主タンパク質を同定した.上記の研究成果は特許出願済みであり,また,平成19年度日本植物病理学会において発表予定である.
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Research Products
(4 results)