2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09007
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
錦織 雅樹 北海道大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | プラス鎖RNAウイルス / トマトモザイクウイルス / 複製複合体 / 生体膜 / 界面活性剤 / RNA合成活性 / 宿主タンパク質 |
Research Abstract |
トマトモザイクウイルスをはじめとするプラス鎖RNAウイルスは、宿主細胞のオルガネラ膜上で子孫RNAを合成する。本年度はトマトモザイクウイルス(ToMV)RNA合成酵素を精製し、ウイルスRNAの複製に関与する宿主側のタンパク質を同定することを目的に研究を行った。申請者は、ToMVに感染した細胞より調製した膜にリソフォスファチジルコリンという界面活性剤を作用させることにより、ToMVのコードする複製に関与するタンパク質(複製タンパク質)およびRNA合成活性を可溶化することに成功した。このRNA合成酵素を精製したところ、宿主がコードするTOM1、TOM2Aタンパク質に加え数種の宿主タンパク質が共精製された。TOM1、TOM2Aタンパク質は遺伝学的手法により同定されたToMVの複製に関与する宿主膜タンパク質であり、本研究により細胞内においてToMV複製タンパク質と相互作用する可能性が示唆された。共精製された他の宿主タンパク質に関しては、現在同定を試みている。 申請者は、細胞粗抽出液より複製活性を精製する実験を通して、複製タンパク質の大部分は可溶性画分に存在しRNA合成活性を示さないこと、一部の複製タンパク質のみが膜に結合してRNA合成活性を示すことを明らかにした。可溶性と膜結合の複製タンパク質の間では界面活性剤処理後の挙動や、共精製される宿主タンパク質の種類や量に違いがみられ、局在により性状が大きく異なることが示唆された。以上の結果より、複製タンパク質は可溶性タンパク質として宿主細胞内で合成され、膜および宿主タンパク質との相互作用を通して、一部の分子が膜に結合しRNA合成活性を獲得する可能性が示唆された。上記の研究成果の一部は平成17年度日本分子生物学会年会において発表し、現在論文投稿準備中である。
|