2005 Fiscal Year Annual Research Report
ジビニルプロトクロロフィリド還元酵素の遺伝子の単離と酵素学的解析
Project/Area Number |
05J09041
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永田 望 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | クロロフィル / 光合成 / 代謝 / 葉緑体 |
Research Abstract |
クロロフィルは光合成生物が光合成を行うため、光の捕集や電子伝達に必須の色素である。その中で、クロロフィルaはすべての酸素発生型光合成生物が有する、光合成装置の中心となる色素である。そのため、クロロフィルの合成経路を明らかにすることは光合成生物の進化や光環境への適応、植物の発育や老化に関する機構を理解する上で重要であると考えられる。 クロロフィルaの合成を触媒する酵素の多くは同定され、それらの酵素をコードしている遺伝子の多くは決定されている。しかしその中で、ジビニルプロトクロロフィリドaをモノビニルプロトクロロフィリドaに還元すると考えられている3,8-ジビニルプロトクロロフィリドa8-ビニルレダクターゼ(DVR)をコードする遺伝子は同定されていなかった。 本研究では、クロロフィルaの合成にかかわる最後の遺伝子であるDVR遺伝子を決定し、その活性から見たクロロフィル合成経路を明らかにし、新たなクロロフィルの獲得と光合成生物の進化に対する理解を深めることを目的としている。 昨年度はジビニルクロロフィルを蓄積する変異株の原因遺伝子がDVR遺伝子であることを決定した。そして、クロロフィルaの合成にかかわる全遺伝子を決定した。本年度はDVRの酵素学的性質に関する研究を行った。その結果、従来のクロロフィル合成経路では、DVRはジビニルプロトクロロフィリドaを基質としていると考えられてきたが、DVRはジビニルクロロフィリドaを基質としていることが明らかとなった。この研究結果から、クロロフィル合成経路を完成させた。また、DVRの電子供与体がNADPHであることも決定した。さらに、基質特異性の研究では、色素の変性を最小限に抑える精製方法を確立し、安定したDVR酵素活性測定の方法を確立した。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Excitation energy transfer in the antenna system with divinylchlorophylls in the vinyl reductase-expressing Arabidopsis.2005
Author(s)
Akimoto, S., Yokono, M., Ohmae, M., Yamazaki, I., Nagata, N., Tanaka, A., Mimuro, M.
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Journal Title
Chemical Physics Letters 409
Pages: 167-171