2007 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙黎明期に形成された低質量星における中性子捕獲反応と重元素の合成
Project/Area Number |
05J09072
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西村 高徳 Hokkaido University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 元素合成 / 種族III星 / 低中質量星 |
Research Abstract |
金属と総称される重い元素のグループは星の核反応で合成されるため、低金属量であるということはそれだけ古い世代の星であることを示し、星の表面で観測される金属量は星の世代の指標と考えられている。近年の観測によって、明らかにされる金属欠乏星の数は増加してきており、今後もこの増加傾向は加速していくと予想される。中でも現在、最も金属量の少ない星のグループでは太陽の10万分の1以下と非常に少なく、初期宇宙理解への足がかりとして期待されている。加えて、これらの星表面では特徴的な元素組成が確認されており、この起源はさかんに研究・議論がなされてきた。その中に、現在観測される金属欠乏星は第一世代の星であり、その表面組成は、連星からの輸送によるものであるとのモデルが提唱されている。 本研究では、このような非常な低金属星の表面組成の起源解明を目的として、特異な進化過程に伴う核種合成を調査してきた。星の進化研究から、金属量の少ない低中質量星においてヘリウムフラッシュに誘起された対流が水素層の底に到達し、水素を内部に持ち込むことがすでに知られている。水素は炭素による吸収、β崩壊、α捕獲[12C(p,γ)13N(e+ν)13C(α,n)160]を経て中性子に姿を変え、核種合成の経路を大きく広げることになる。この状況における核種合成を核反応ネットワークを用いて調べた結果、先の連星モデルに基づいて、最も金属量の少ない星のグループに見られる特異な組成パターンを、再現可能であることを示した。更に、明らかにされた核種合成経路から上記の機構の帰結として得られる相対組成比の範囲を割り出し、観測される星との比較を通じて、その星の組成の起源に迫ることが可能になった。特に炭素と酸素の相対組成比を基に、炭素増大型の金属欠乏星に見られる違いを解釈できることを強調したい。
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Research Products
(7 results)