2006 Fiscal Year Annual Research Report
III族窒化物半導体ショットキー接合の制御とそのデバイス応用
Project/Area Number |
05J09083
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小谷 淳二 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 窒化物半導体 / ショットキー界面 / トンネル電流 / 表面処理 |
Research Abstract |
本研究は、III族窒化物半導体ショットキー接合の制御を目的としている。 本年度は、Al薄膜を用いた表面改質プロセスを提案し、AlGaNショットキー界面のリーク電流低減を実現した。また、表面改質プロセスをAlGaN/GaN HEMTのショットキーゲートに適用し、低ゲートリーク電流AlGaN/GaN HEMTを実現した。さらに、ゲートリーク電流の低減だけでなく、表面改質によるドレイン電流安定性の向上を確認した。 これまで本研究では、GaN、AlGaNショットキー接合のリーク電流を系統的に調べてきた。その結果、ショットキー界面のリーク電流は、半導体表面近傍の欠陥・不純物に関連するドナーが引き起こすバリアの薄層化によって説明できることを明らかにした。AlGaN表面近傍の欠陥、不純物ドナーとして、窒素空孔欠陥(V_N)、酸素不純物が考えられる。そこで本研究では、表面近傍のV_Nと酸素不純物を除去するAl薄膜を用いた表面改質プロセスを提案した。表面プロセスとして、(1)窒素ラジカル処理、(2)Al薄膜の堆積、(3)超高真空中熱処理、(4)Al膜の除去、を連続して行った。はじめに、単層AlGaN上に形成したショットキー接合において、表面改質がリーク電流の低減に効果的であることが実験によって確認された。さらに、ショットキーゲートAlGaN/GaN HEMTにこの表面改質プロセスを適用した結果、以下の大幅なデバイス特性の改善が得られた。 (1)2〜3桁のゲートリーク電流の低減、および温度依存性の回復 (2)高温・大電流ストレスに対するドレイン電流安定性の向上 ゲートリーク電流の低減は、単層AlGaNショットキー接合と同様に、表面近傍のV_N、酸素不純物の低減により得られた結果と言える。また、AlGaN/GaN HEMTでは、ソース・ゲート間および、ゲート・ドレイン間のAlGaN表面の欠陥・不純物除去が、ドレイン電流安定性の向上に繋がったと考えられる。
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Research Products
(1 results)