2005 Fiscal Year Annual Research Report
実伝搬路において高速無線伝送を実現するMIMOシステムに関する研究
Project/Area Number |
05J09085
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西本 浩 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | MIMOシステム / 空間分割多重 / 見通し内環境 / 見通し外環境 / 固有ビーム空間分割多重 / 特異値分解 / ビット誤り率 / チャネル容量 |
Research Abstract |
近年,送受信機の双方に複数のアンテナ素子を搭載したMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)システムは,無線通信の大容量化を実現する技術として盛んに研究が行われている.送信側でチャネル情報が未知であるとき,より高速な通信速度を実現する伝送方式として空間分割多重(Space Division Multiplexing : SDM)方式が挙げられる.同方式は,各送信アンテナから独立な信号ストリームを送信し空間的に信号を多重化することで,送信アンテナ数に比例して伝送レートを上昇させることができる.我々はMIMO伝搬実験に基づき,実環境におけるSDM伝送特性を評価した.その結果,これまでSDM方式は送受信間が見通しとならない(Non Line-of-Sight : NLOS)環境において伝送効率を高める手法として研究が進められてきたが,送受信間が見通しとなる(Line-of-Sight : LOS)環境においても良好な伝送特性を示すことを確認した. 一方,送信側でチャネル情報が得られるとき,固有ビームSDM(Eigenbeam-SDM : E-SDM)方式を適用することが可能となる.チャネル行列を特異値分解して得られる固有ベクトルを用いることにより,空間的に直交したマルチビームを形成することができる.各ビームに対し最適なリソース配分を行うことで,MIMOチャネルにおける最大スループットが得られる.これより,E-SDMは更なる高速無線伝送を可能にする有効な伝送方式といえる.我々は実環境におけるMIMO E-SDM伝送特性を明らかにするため,屋内伝搬実験を行い,実環境におけるE-SDM伝送についてSDM伝送との特性比較を行った.その結果,実環境においてE-SDMはSDMよりも良好なビット誤り率特性を示し,NLOS環境よりもLOS環境において優れた特性となることを確認した.
|
Research Products
(6 results)