2006 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属気相選択成長法による半導体ナノワイヤの形成と単電子素子への応用
Project/Area Number |
05J09087
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
登坂 仁一郎 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 化合物半導体 / 有機金属気相成長 |
Research Abstract |
有機金属気相選択成長法を用い作製したInAs、InGaAsナノワイヤに対し電気的評価を試みた。また、InGaAsナノワイヤ成長時にSiH4を導入し、ドーピングを行ったInGaAsナノワイヤに対して同様の評価を行いドーピングの効果を確認した。 評価方法は、p型Si/SiO2基板に作製したそれぞれのナノワイヤを散布し、電子線露光装置により単一のナノワイヤに対し電極構造を形成した。p型Siは、ナノワイヤに対する背面ゲートとして用いている。背面ゲート構造は、デバイスの作製が容易であるが、伝達コンダクタンスが悪いこと、将来的に単電子トランジスタを作製する上で局所的なポテンシャル変調が必要となるが、この構造では局所的なポテンシャル変調が困難であることが予想されるため、背面ゲートに加えナノワイヤの表面にショットキーゲートを設けナノワイヤの電気的特性を評価した。 InAsナノワイヤにおいて、GaAsナノワイヤでは困難であった背面ゲートによる電界効果トランジスタ動作を確認した。このInAsナノワイヤFETに対し温度5Kにおいて、背面ゲート特性を調べたところ、そのドレイン電流特性はクーロンブロッケードを示した。クーロンブロッケードの起源を探るため、ゲート電圧-ドレイン電圧-ドレインコンダクタンス測定を行ったところ、クーロンダイアモンドが確認でき、その特性から見積もられるドットのサイズが15nm程度であることが分かった。これまでの研究で、ナノワイヤ内に無数の双晶が形成されていることが明らかとなっているが、今回見積もられたドットのサイズと双晶のサイズ等に直接的な相関は認められなかった。ナノワイヤ内のドット形成の起源は、現状では明らかとなっていない。 一方、InGaAsナノワイヤではInAsおよびGaAsナノワイヤで困難であったショットキーゲートによるドレイン電流変調を確認した。背面ゲート及びショットキーゲートの伝達コンダクタンス特性を比較したところ、ショットキーゲートにおいて20倍程度の伝達コンダクタンスの改善を確認した。ショットキーゲートによる室温における最大伝達コンダクタンスは30mS/mm、144Kにおいて50mS/mmであった。また、背面ゲートではゲート電圧-ドレイン電流特性に大きなヒステリシスが確認されたのに対し、ショットキーゲートではヒステリシスは確認されなかった。室温におけるInGaAsおよびSiをドープしたInGaAsナノワイヤのFET特性を比較したところ、SiをドープしたlnGaAsナノワイヤにおいて負の閾値電圧の増加が確認された。これは、成長時に導入したSiH_4がn型ドーパントとして機能していることを示している。
|