2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリエーテル系抗生物質ラサロシド生合成におけるエーテル環構築機構の解明
Project/Area Number |
05J09104
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
右田 章 北海道大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ポリエーテル / 環化酵素 / 酸化酵素 / 環化酵素 / 生合成 |
Research Abstract |
ポリエーテルの環化機構解析で大きな問題となるのは酵素基質の特定、及びエポキシ化酵素遺伝子・環化酵素遺伝子の特定である。ラサロシドの環化前駆体であるプレラサロシドの合成は既に完了しており、残る両酵素遺伝子の特定、及び発現について検討を行った。 ラサロシド生合成遺伝子は生産菌の約8000kbpのゲノム上ではなく、約520kbpの線状プラスミド上に存在することが以前から指摘されている。この線状プラスミドを鋳型として、また既存のポリケタイド合成酵素(PKS)のKSドメインで作成した縮重プライマーを用いPCRを行ったところ、3種の新規KS遺伝子断片を得ることが出来た。これをプローブとして生産菌の全DNAライブラリーに対しハイブリダイゼーションを行い、陽性反応を示したコスミドのうち3種についてショットガンシーケンスによる解析を行った。約87kbpに及ぶ遺伝子情報の詳細な解析の結果、約57kbpのPKS領域では、1)炭素鎖長を決めるドメインの数、2)炭素側鎖を決めるATドメインの保存領域のアミノ酸配列、3)炭素鎖の酸化度を決定する還元ドメイン存在、の3点において、ラサロシドの構造から予想されるドメイン構造と矛盾なく一致することが確認できた。またクラスター上流にはエチル基側鎖の伸長に必須な、エチルマロニルCoA生合成遺伝子群も存在した。さらにクラスター下流には既存のエポキシ化酵素遺伝子・環化酵素遺伝子と高い相同性を示す遺伝子が見つかった(それぞれ52%、49%)。これらの結果より、この遺伝子群はラサロシド生合成遺伝子クラスターであると推定した。 これら両酵素遺伝子のクローニングを行い、発現、可溶化に成功した。鍵となる環化前駆体の合成、エポキシ化酵素・環化酵素の発現の両方を完了したので、現在、これらを用いた変換反応の条件検討を行っている。
|