2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポリエーテル系抗生物質ラサロシド生合成におけるエーテル環構築機構の解明
Project/Area Number |
05J09104
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
右田 章 Hokkaido University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポリエーテル / エポキシ化酵素 / エポキシド加水分解酵素 / ポリケタイド / 生合成 |
Research Abstract |
ポリエーテル化合物の環化機構解析において大きな問題となるのは、酵素基質の特定、及び環化反応に関与するエポキシ化酵素遺伝子、エポキシド加水分解酵素遺伝子の特定、発現である。 ラサロシド前駆体であるプレラサロシドは既に合成を完了しており、また問題となるエポキシ化酵素遺伝子、エポキシド加水分解酵素遺伝子についても、クローニング、及び大量発現に成功している。しかしこれらを用いて変換反応を行なったところ、様々な条件検討を行ったにもかかわらず、期待される変換は全く確認されなかった。エポキシ化反応を触媒するFAD依存型モノオキシゲナーゼを用いた反応は報告例も少なく、活性の検出が困難なことが予想されたため、より活性の検出が容易と推定されるエポキシド加水分解酵素について検討を行うこととした。 ラサロシド生合成遺伝子クラスター中のエポキシド加水分解酵素は、二つのドメイン(Lsd19-A, Lsd19-B)が融合した構造を持っている。ラサロシドは構造中に2つのエーテル環構造を持つことから、これら2種のドメインを単独で発現させ、それぞれを単独で反応させることで環形成機構の詳細を確認することとした。基質としては既に当研究室で合成が完了されているビスエポキシド化合物を用いた。その結果、Lsd19-A, Lsd19-Bを単独で反応に用いた際はほとんど活性が検出されないが、2種のドメインを混ぜることで野生型の酵素と同等の変換効率で、目的とする環化体が得られることが確認できた。現在、全遺伝子情報が明らかとなっているポリエーテル化合物、モネンシン、ナンチャンマイシン、ナイジェリシンなどもラサロシドと同様に2種のドメインに相当する二つのエポキシド加水分解酵素遺伝子を有しており、これら2種のエポキシド加水分解酵素がヘテロ二量体構造を形成することで、エーテル環形成反応が進行するという重要な知見を得ることができた。
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Research Products
(1 results)