2005 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ生殖腺体細胞分化・確立過程の細胞学的・分子生物学的解析。
Project/Area Number |
05J09119
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 修平 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生殖腺体細胞 / sdf-1 / ftz-f1 / 生殖腺形成場 |
Research Abstract |
生殖腺は生殖細胞とそれを取り囲む体細胞の大きくわけて2種類の細胞で構成されている。生殖腺形成の分子機構を理解する上で、両者の理解は等しく必要であるにも関わらず、生殖細胞に比較して体細胞側の理解は大きく遅れている。我々は生殖腺体細胞形成の分子機構の理解をめざし、メダカをモデルとして用い、生殖腺体細胞の確立過程での細胞系譜を明らかにすることを試みた。生殖腺体細胞のマーカーとしてftz-f1を用い発現解析を行ったところ、ftz-f1は、生殖腺器官形成以前に既に腸管側方の生殖細胞周囲の側板中胚葉で発現していることが明らかとなった。このことは、生殖腺体細胞が生殖腺器官形成前に既に確立されていることを意味する。一方、生殖細胞系列は、sdf1遺伝子産物によって、生殖腺形成領域に移動することが知られている。細胞系譜解析により、生殖腺体細胞は6体節期に、このsdf1の発現領域の後端にマップされ、収斂・伸長運動により移動し、生殖腺形成領域へ入ることが明らかになった。この6体節期の予定生殖腺体細胞を除去してもより後方の細胞が除去領域に移動し、生殖腺体細胞が回復することから、6体節期のsdf1発現領域の後端に生殖腺形成場(gonadal field)が存在することが明らかとなった。一方、22体節期で予定生殖腺体細胞を除去すると、生殖腺体細胞は回復しないことから、この時期までに予定生殖腺体細胞は生殖腺体細胞として決定を受けることが示唆された。さらに、生殖腺器官形成前の35体節期において、ftz-f1発現状態の異なる2種類の生殖腺体細胞が存在していることが明らかとなり、それらは10体節期からすでに空間的に異なって配置されていることが示唆された(論文投稿中)。これら2種類の未分化生殖腺体細胞がその後の性分化過程においてどのような細胞へ分化するか、またその分子メカニズムを明らかにすることが今後の課題である。(800字)
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Research Products
(1 results)