2005 Fiscal Year Annual Research Report
ATLモデルマウスを用いたT-cell腫瘍化機構の解明と治療法の開発
Project/Area Number |
05J09123
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大場 靖子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 成人T細胞白血病 / HTLV-1 / Tax / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
本研究において我々が作成したHTLV-1 Taxトランスジェニックマウスは、成人T細胞白血病(ATL)と類似したphenotypeを示しT-cell由来の腫瘍を発症することから、ATLモデルマウスとしての有用性が期待できる。本モデルマウスの脾臓を採取しTaxの発現を確認したところ、Tax蛋白の発現はImmunoblottingでは検出できていないが、Tax mRNAはマウスの週齢によらず低いレベルで発現していることが判った。さらにヒトATL細胞で認められるNF-κBの活性化が、本マウス由来のT-cell腫瘍細胞においても認められるかをGel shift assay、ELISA法を用いて調べた結果、ヒトATL細胞と同様にNF-κBが活性化していることを確認した(Hasegawa H, Sawa H, Lewis MJ, Orba Y et al. Nature Med.in press)。本モデルマウスにおいてこのように低い発現量のTaxがT-cellでのNF-kBを活性化し、腫瘍化へと導くメカニズムを明らかにするため、モデルマウスから得られたT-cell腫瘍細胞と、正常マウスから得られたT-cellを用いて、NF-κBならびに発癌関連遺伝子のcDNAアレイ解析を行った。その結果、正常マウス由来のT-cellに比べて変化の見られる遺伝子を多数同定出来た。その中には既にヒトにおいてTaxによる転写活性化や発現の異常が報告されている遺伝子が多数認められたことから、本マウスにおいてもヒトATL細胞と同様のメカニズムでTaxによる転写活性化、T-cellの異常増殖が起こっていることが示唆された。 次に、モデルマウスから採取したT-cell腫瘍細胞を種々の条件で培養を行い、in vitroでcell lineを樹立することに成功した。このことにより腫瘍発症機序の解明や治療効果の基礎検討が容易となった。
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Research Products
(1 results)