2006 Fiscal Year Annual Research Report
ATLモデルマウスを用いたT-Cell腫瘍化機構の解明と治療法の開発
Project/Area Number |
05J09123
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大場 靖子 北海道大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 成人T細胞白血病 / HTLV-1 / Tax / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
本研究において我々が作成したHTLV-1 Taxトランスジェニックマウスは、成人T細胞白血病(ATL)と類似したphenotypeを示しT-cell由来の腫瘍を発症する。このT-cell腫瘍は、ATL患者由来の腫瘍細胞と同様にアポトーシス抑制因子であるsurvivinの発現が亢進していることから、survivinをターゲットとした治療法の検討を行った。survivinの活性化にはcdc2によるリン酸化が必要であるため、CDK inhibitorであるRoscovitineがsurvivinのアポトーシス抑制効果を抑制し抗腫瘍効果を持つかを検討した。昨年度我々がcell line化したATLモデルマウス由来のT-cell腫瘍細胞を用い、in vitroにおいてRoscovitineが腫瘍細胞をアポトーシスに導くかどうかを検討した。次にin vivoにおけるRoscovitineの効果を検討するため、腫瘍細胞を腹腔内接種したSCIDマウスにRoscovitineを経口または腹腔内投与し、腫瘍の増殖抑制効果が見られるかを検討した。その結果、1,in vitroにおいてRoscovitineは濃度依存性にT-cell腫瘍細胞のアポトーシスを誘導した。2,SCIDマウスにT-cell腫瘍細胞を接種後、1週間後または翌日よりRoscovitineを10日間投与した結果、コントロールのDMSO投与群に比べ、腫瘍の増殖に明らかな差は認められなかった。以上の結果より、Roscovitineはin vitroにおいてATLモデルマウス由来のT-cell腫瘍細胞をアポトーシスに導くことが出来たが、in vivoにおいては今回行った投与方法では明らかな抗腫瘍効果が認められなかった。今後、効果的な投与方法を検討すると共に、survivin等をターゲットとした他の治療法についても検討を行う。
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Research Products
(1 results)