2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍選択的活性化をプログラムした血中投与型多機能性ナノ構造体による腫瘍遺伝子治療
Project/Area Number |
05J09133
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
畠山 浩人 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 遺伝子治療学 / 腫瘍遺伝子治療 / 非ウイルスベクター / マトリックス・メタロプロテアーゼ / ドラッグ・デリバリー・システム |
Research Abstract |
非ウイルスベクターによってin vivo腫瘍組織で遺伝子発現を実現するためには、PEGなどの修飾によるベクターの生体内での安定性と腫瘍への蓄積性の獲得、また腫瘍組織での高い遺伝子発現活性が必要となるが、安定性・蓄積性の向上と遺伝子発現活性の上昇は相反する(PEGのジレンマ)。 そこで血中滞留素子として機能し、かつ腫瘍組織周辺で特異的にPEGがベクターから解離する機能素子の開発を行なった。腫瘍特異的に発現がみられるMMPにより認識および分解されるペプチド配列をPEGと脂質の間に挿入したPEG脂質誘導体を合成し、TOF-MSによる分子量分析および1H-NMRによる構造解析によりPEG脂質誘導体(PPD)の合成に成功した。またPPDのMMPによる切断がリポソームに修飾した状態でも起こることを確認した。 当研究室で開発された非ウイルスベクター(多機能性エンベロープ型ナノ構造体:MEND)にPEG脂質およびPPDを修飾し、in vitro細胞系においてトランスフェクションを行なったところ、PEG修飾MEND(PEG-MEND)では未修飾MEND(MEND)の1/100以下に発現活性が低下したのに対して、PPD修飾MEND(PPD-MEND)はPEG-MENDと比較して細胞のMMP発現量に依存した発現活性の回復が確認された。 In vivoにおける体内安定性を、RI標識MENDを用いて行なったところ、PEG-MENDと比較すると若干低いものの、PPD-MENDはMENDと比較して有意に高い血中滞留性を示した。また同程度の血中滞留性が得られるPEG密度においては、PEG-MENDおよびPPD-MENDの腫瘍組織への移行量も同等であることを確認した。
|
Research Products
(3 results)