2006 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍選択的活性化をプログラムした血中投与型多機能性ナノ構造体による腫瘍遺伝子治療
Project/Area Number |
05J09133
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
畠山 浩人 北海道大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝子治療学 / 腫瘍遺伝子治療 / 非ウイルスベクター / マトリックス・メタロプロテアーゼ / ドラッグ・デリバリー・システム |
Research Abstract |
非ウイルスベクターによってin vivo腫瘍組織で遺伝子発現を実現するためには、PEGなどの修飾によるベクターの生体内での安定性と腫瘍への蓄積性の獲得、また腫瘍組織での高い遺伝子発現活性が必要となるが、安定性・蓄積性の向上と遺伝子発現活性の上昇は相反する(PEGのジレンマ)。 そこで血中滞留素子として機能し、かつ腫瘍組織周辺で特異的にPEGがベクターから解離する機能素子の開発を行なった。これまでに腫瘍特異的に発現がみられるMMPにより認識および分解されるペプチド配列をPEGと脂質の間に挿入したPEG脂質誘導体(PPD)の合成に成功しており、また当研究室で開発された非ウイルスベクター(多機能性エンベロープ型ナノ構造体:MEND)にPPDを修飾すると、in vitro細胞系においてMMPによるPEGの切断によって発現活性が上昇すること、またin vivoにおいて血中滞留性を示し、高い腫瘍移行性を示すことを明らかとしてきた。 本年度はMMP高発現細胞であるヒト繊維芽肉腫由来HT1080細胞を皮下移植した担癌モデルマウスにおいて、実際にPPDを修飾したMENDした場合、発現量が向上するかについて検討を行った。PPDを15%修飾したMENDを尾静脈より投与すると、同程度の腫瘍移行量を示した通常のPEG脂質を15%修飾したMENDと比較して、腫瘍における遺伝子発現量が50倍以上の上昇を示すことを明らかとした。また腫瘍移行量と発現効率の更なる向上を目指して最適化の検討を行った結果、PPDとPEGを等量修飾し、総修飾量を20%としたMENDにおいて、通常のPEG修飾MENDと比較して、約100倍の発現活性の上昇を得ることに成功した。以上のことから、本研究で開発に成功したMMP応答性PEG(PPD)は、in vivo腫瘍組織においてもMMPによってPEGが切断され遺伝子ベクターの発現活性を上昇させることが示唆された。
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Research Products
(2 results)