2007 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍選択的活性化をプログラムした血中投与型多機能性ナノ構造体による腫瘍遺伝子治療
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05J09133
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
畠山 浩人 Hokkaido University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 癌遺伝子治療 / 遺伝子デリバリー / 多機能性エンベロープ型ナノ構造体 / マトリックスメタロプロテアーゼ / トラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
非ウイルスベクターによってin vivo腫瘍組織で遺伝子発現を実現するためには、PEGなどの修飾によるベクターの生体内での安定性と腫瘍への蓄積性の獲得、また腫瘍組織での高い遺伝子発現活性が必要となるが、安定性・蓄積性の向上と遺伝子発現活性の上昇は相反する(PEGのジレンマ)。 そこで血中滞留素子として機能し、かつ腫瘍組織周辺で特異的にPEGがベクターから解離する機能素子として、腫瘍特異的に発現がみられるMMPにより認識および分解されるペプチド配列をPEGと脂質の間に挿入したPEG脂質誘導体(PPD)を開発した。また当研究室で開発された非ウイルスベクター(多機能性エンベロープ型ナノ構造体:MEND)をPPD修飾すると、in vitro細胞系においてMMPによるPEGの切断によって発現活性が上昇すること、またin vivoにおいて血中滞留性を示し、担癌モデルマウスにおいて高い腫瘍移行性と発現活性の上昇を示した。 本年度は核酸医薬として期待のかかるsiRNAの送達システムとして有用であるか検討した。血中滞留性と活性の向上を両立したPPDの修飾条件を見出すことに成功し、siRNAを封入したPPD修飾MENDは静脈内投与した後、高い血中滞留性と腫瘍移行量を示した。また、PPD修飾MENDにより腫瘍組織におけるマーカー遺伝子を70%以上ノックダウンすることに成功した。また炎症性サイトカインの産生を誘起せず安全性に高いことが確認された。 以上の検討から、本研究で構築されたsiRNA封大PPD-MENDは、静脈内投与後に効率よく腫瘍組織の標的遺伝子をノックダウンし、かつ安全性に優れた人工ベクターであることが明らかとなった。
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Research Products
(9 results)