2007 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳停止に伴ったシスタチオニンγ-シンターゼmRNA安定性制御機構の研究
Project/Area Number |
05J09138
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原口 雄飛 Hokkaido University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | シロイヌナズナ / シスタチオニンγ-シンターゼ / 翻訳停止 / mRNA安定性制御 / S-アデノシルメチオニン / 分子生物学 |
Research Abstract |
シロイヌナズナのシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)遺伝子では,新生ポリペプチドの働きによりmRNAを翻訳中のリボソームが一時的に停止し,それに伴ってmRNA分解が促進される.この制御は小麦胚芽試験管内翻訳系で再現され,そのエフェクターであるS-アデノシルメチオニン(SAM)の添加に応答してmRNA分解中間産物が蓄積する.今年度は次の成果を得た. 1. 前年度の研究から,CGSmRNAでは新生ペプチドの働きで停止したリボソームを先頭に複数個のリボソームが連なって停止することを明らかにした.先頭のリボソームについては,その転座が阻害されるという観察結果から,mRNA分解の直前にはリボソームA部位がペプチジル-TRNAによって「塞がれた」状態であると考えられるが,実証されてはいなかった.また,後続のリボソームのA部位の状態は不明であった.そこで,小麦胚芽の系で翻訳停止を再現した後にA部位に作用するピューロマイシンを添加し,それぞれのリボソームが示す薬剤への感受性を評価した.その結果,先頭のリボソームは薬剤に対する感受性が低かったことから,A部位が「塞がれた」状態であることが示された.一方,後続のものは高い感受性を示したことから,後続のリボソームは先頭のリボソームとは異なった状態で停止することが示唆された. 2. 制御にトランスに働く因子を探索する手段の一つとして,CGSの制御がウサギ網状赤血球試験管内翻訳系においても再現されるか否かを検証した.パルス・チェイス実験の結果,ウサギの系においても小麦の系と同様に,SAMに応答した翻訳停止が観察された.その一方,プライマー伸長解析ではSAM添加時にもmRNA分解中間産物は検出されなかった.以上の結果から,翻訳停止段階には植物特異的な因子は関与しないことが示された.また,mRNA分解段階に植物特異的な因子が関与することが示唆された.
|
Research Products
(4 results)