2006 Fiscal Year Annual Research Report
ラウシェンバーグの1964年世界歴訪-現代美術におけるグローバリゼーションの起源
Project/Area Number |
05J09171
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池上 裕子 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 現代美術 / グローバリゼーション / アメリカ美術 |
Research Abstract |
本年度はまず、5月に名古屋大学で開催された美術史学会全国大会で「アメリカのスペクタクル-1964年ヴェネツィア・ビエンナーレ考」と題した論考を口頭発表した。この論考は、本研究の第三章にあたる、ロバート・ラウシエンバーグが1964年にアメリカ人の美術家として初めてヴェネツィア・ビエンナーレで大賞を受賞した経緯について、その国際的な影響も含めて明らかにしたものである。この発表に基づいて執筆した同題名の論文は同学会の学会誌に受理され、3月末に掲載予定である。また、同媒体に以前発表した「ロバート・ラウシェンバーグの《ゴールド・スタンダード》」が高く評価され、美術史学会賞を受賞したことから、同学会全国大会で表彰された。 8月から9月にかけてはニューヨークに研究調査に赴き、本研究の第一章にあたる、ラウシェンバーグのパリでの活動について資料を収集し、関係者にインタビューを行った。その結果、従来の研究が提示してきた見方に反し、ラウシェンバーグのパリにおける評価は1964年のビエンナーレ時をのぞいては首尾一貫して高かったことや、アメリカの画商が展開した国際戦略などを明らかにすることができた。帰国後は該当する章の執筆を行うとともに、すでに執筆した章に関しても見直しを進めた。本研究は英語で執筆しているため、11月から2月にかけてネイティヴの編集者にコピーエディット(英語のプルーフ・リーディングと注などの形式のチェック)を依頼し、本研究の学術論文としての体裁を整えた。この作業の結果、本研究は第一段階としてはひとまずの完成を見た。 来年度は、本研究の完成度を高めるために調査をさらに行い、本文の推敲を進める。また、日本とアメリカの出版社に原稿の一部を送るなどして、日本語と英語、両方の媒体での本研究の出版に向けて、積極的な活動を行っていく予定である。
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Research Products
(3 results)