2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヴェトナム手工業村落の形成-考古学、民族考古学、近現代史研究からの分析-
Project/Area Number |
05J09186
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 範子 (西野 範子) 大阪大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | キムラン村 / バックコック村 / ベトナム陶磁器 / 重ね焼き技法 / 分類と編年 |
Research Abstract |
ハノイ郊外キムラン村で発掘した資料および、ナムディン省バックコック村で発掘した遺物を軸として、今まで発掘及び採集した北部ベトナム陶磁器を整理し、分類、編年的研究を行った。主に分類の大枠に重ね焼き技法を用い、細分類として形態分類を行った。そして、10世紀から20世紀の約1000年間におよぶ北部ベトナムの施釉陶器を分類、編年案を作成した。1000年間の陶磁器群を17期に分割することを可能にした。その際、ベトナム窯業史とその流通史に関して、いくつかの新しい知見を提示することができた。その結果については、上智アジア学23号に論文発表した。 さらに、キムラン村の出土遺物については、製作技術の詳細な分析を行い、14世紀の印花文碗の型作り時に、模と素地の間に離脱材として紙、もしくは布を敷いて作成することを明らかにした。また、うちサヤの可能性のある遺物とその焼成技法の可能性を指摘した。これらの研究結果は、『2005年の考古学の新発見』に掲載予定である。 キムラン遺跡調査のは発掘報告書を作成する予定であり、その準備を行った。出土遺物、出土遺溝の図版をコンピュータ上に取り込み、画像処理を行い、他人に見やすいようにそれぞれの技法を記号化、図面に色を塗る作業を行った。 聞き取り調査では、キムラン村の古老からライフヒストリーや村の過去の様子を聞き取り、キムラン村の変化の概要を把握した。同じ陶磁器を生産する隣同士のバッチャン村とキムラン村では陶磁器生産の歴史や陶磁器生産に対する考えかたや生産の仕組みもまた大きく異なり、バッチャン村が伝統的に陶磁器を生産し続けてきた一方、キムラン村は合作社以降技術を身につけた新しい生業であることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)