2005 Fiscal Year Annual Research Report
非線形偏微分方程式に対する均質化問題への後ろ向き確率微分方程式によるアプローチ
Project/Area Number |
05J09265
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市原 直幸 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 確率論 / 後ろ向き確率微分方程式 / 均質化 / 偏微分方程式 / 確率制御 / Bellman方程式 |
Research Abstract |
本年度の研究において,大きく分けて2つの成果を得た.まず,2階の放物型完全非線形方程式の解に関する確率論的表現公式を得た.一般に線形の2階放物型偏微分方程式の解は確率微分方程式の解のある種の平均でかけることが知られているが,私は完全非線形方程式に対しても,後ろ向き確率微分方程式を使うことで解の表現公式が得られることを示した.ハミルトニアンのクラスがBellman型でない場合でも,2階微分の項に関して一様楕円性と凸性を持つ場合は同様の表現公式が得られることを示した.これが本研究の1つ目の新しい成果である. 次に,得られた表現公式を用いて2階の放物型完全非線形方程式に対する均質化問題を考察した.方程式の解を確率論的に表現できたことで,解に関するより精密な評価が得られ,結果として均質化における解の収束スピードに関する評価が得られた.均質化における解の収束スピードの研究は,世界的にみてもまだほとんど行なわれていないが,確率論的な方法によりこの種の問題にアプローチできることを示したことが,本研究の2つ目の新しい成果といえる. また,本研究および関連する話題について,後ろ向き確率微分方程式の研究が盛んなフランスへ渡航し,現地の研究者たちと議論した.特に,ハミルトニアンが退化した場合に本研究の成果が拡張可能かどうか詳しく議論し,一定の方向性を得た.最後に,世界の研究状況やこの分野における今後の研究の流れについても彼らと意見を交換し,研究の参考とした.
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Research Products
(2 results)