2005 Fiscal Year Annual Research Report
ショートフォールリスク最小化問題と非マルコフ型金融市場モデルの研究
Project/Area Number |
05J09268
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 張 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Optimal Investment / Long term investment / Processes with memory |
Research Abstract |
非マルコフ型市場モデルにおける最適ポートフォリオ問題 短期記憶を持つ多次元の定常増分ガウス過程をdriving noiseとする金融市場モデルを考え、次の3種類の最適ポートフォリオ問題を研究した:(1)有限期間の期待べき効用最大化問題、(2)期待べき効用の長期間成長率の最大化問題、(3)ポートフォリオの成長率があるベンチマークを上回る大偏差確率の最大化問題。これらは互いに関連があり、(1)を明示的に解くことによって(2)を、(2)を明示的に解くことによって(3)を解くことができる。解析の鍵となるのはCameron-Mertin公式に現れるRiccati微分方程式で、解の存在と一意性、漸近挙動について調べることによって解決した。また、実際の市場データから上記のdriving noise過程のパラメータを推定する問題を考察した。この問題については1次元の場合はすでに研究されており、今回は2次元以上の場合を扱った。高次元のnoiseを導入することにより、市場で観測される複雑なボラティリティ構造にfitさせることができた。以上の研究内容は井上昭彦氏(北海道大学)との共同研究であり、一編の論文として現在投稿中である。 平均-リスク最小化問題 ショートフォールリスク最小化問題に関連して、平均-リスク最小化問題を研究した。今回の研究ではリスクは複数のインデックスに対するトラッキングエラーで定義し、平均とリスクからなるパフォーマンスベクトルをN次元空間上の擬順序によって評価した。得られた成果は単著の一編の論文として現在投稿中である。
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