2005 Fiscal Year Annual Research Report
強相関系酸化物ナノ構造による室温動作スピントロニクスデバイスの創製
Project/Area Number |
05J09293
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 一成 大阪大学, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | スピントロニクス / 強相関系酸化物 / トンネル磁気抵抗効果 / ナノ構造 / レーザー分子線エピタキシー |
Research Abstract |
次世代の不揮発性磁気メモリを実現するために、トンネル接合作製に向けたFe_<2.5>Mn_<0.5>O_4/絶縁体界面の評価をおこなった。低キャリア濃度、高耐酸化性等優れた物性を有するFe_<2.5>Mn_<0.5>O_4(FMO)を用いたトンネル接合作製に向けて、FMO/絶縁体界面の結晶学的、電気的・磁気的特性評価をおこなった。レーザー分子線エピタキシー(MBE)法により、FMO極薄膜をMgO(001)、SrTiO_3(STO)(001)、Al_2O_3(AlO)(001)基板上にそれぞれ成長させた。MgOはFMOとの格子整合性が非常に良く(格子不整合0.3%)、単結晶積層構造を作製する上で重要である。STOは高誘電体であるため、例えばこれをゲート絶縁膜として用いた場合、非常に大きな変調効果が期待できる。また、AlO(001)基板上においてFMOは(111)面で成長するため、(強)誘電体層等と組み合わせる場合に異なる配向性を制御できる。以上の観点からそれぞれの候補絶縁材料について評価をおこなった。MgO上FMOは異常ホール測定において、極薄膜10nmにおいてもキャリアのスピン偏極を示し、これはFMOの特長である。STO上FMOは結晶性が悪く晶系を特定するに至らなかった。しかしながら、その電気特性、磁気特性はMgO上のものと比較して極端に悪化しておらず、基板情報とほぼ無関係に成長しているものと思われる。このことがデバイス作製時におよぼす影響についてはさらなる研究を要する。また、電気抵抗率の温度依存性はAl_2O_3基板上においてはMgO上と比較して約1桁低く、これはX線解析からFMO/Al_2O_3界面に配向の異なる相が存在しているためとわかった。このことは接合デバイスを作製する上で大きな問題を有していることを示唆している。
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Research Products
(3 results)